「はかた号」はかくて「キングオブ夜行バス」になった 何度も荒波乗り越えた30年

「キング・オブ・夜行バス」と呼ばれる東京~博多間の西鉄夜行バス「はかた号」が30周年を迎え、新車も投入されました。日本最長クラスの夜行バス、その歩みは決して順風ではなく、何度も荒波を乗り越えています。その歩みを振り返ります。

運行までに3年 30年前から日本トップクラスの夜行バス

 西日本鉄道(以下:西鉄)が運行する東京(新宿)~北九州・福岡間の夜行高速バス「はかた号」が、2020年10月で運行開始30周年を迎えました。「キング・オブ・夜行バス」と呼ばれ、同社のフラッグシップ的存在でもある「はかた号」ですが、その歩みは決して順風満帆なものではありませんでした。

「はかた号」が運行を開始したのは、今から30年前の1990(平成2)年10月12日。全国各地で共同運行方式による高速バス路線が急拡大した時期にあたります。「はかた号」も例外ではなく、現在でこそ西鉄が単独で運行していますが、当時は京王帝都電鉄(現・京王電鉄、以下:京王)と共同で運行を開始しました。

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現行(9代目)の「はかた号」。プレミアムシート、ビジネスシートとも質感や乗り心地が向上している(須田浩司撮影)。

 当時の「はかた号」の運行距離は、日本のバスの歴史上はじめて1000kmを超える前代未聞の1161.8km。そして、所要時間も15時間超えの15時間15分に設定されました(現在は北九州経由で14時間17分~14時間39分)。このため、運行実現に至るまで数多くの課題があったほか、当時の運輸省(現:国土交通省)も路線開設に慎重な態度をとり、具体的構想から運行開始までに約3年の月日を要したといわれています。

 特に、安全確保という点においては、両社とも実走行調査を行ったほか、西鉄では、実際に乗務員2名で想定ダイヤ通りに運行し、その間2名の身体状況の変化を記録して、臨床医学の専門家によって安全性を立証するといった準備も行っています。

 一方で、需要が多い区間でそれなりの利用が見込めたこと、さらには到着地での乗務員の休憩時間確保の目的から、運行本数は1日2往復設定されました。

 車両は、後部にサロン席(フリースペース)を設置した3列独立シート23人乗りの夜行高速仕様車が投入されました。軽食のサービス(パンまたはクラッカー、缶サラダ、飲み物)があったほか、西鉄便には全席にプライベートカーテンを装備するなど、当時から夜行バスの中でもトップクラスのサービスを誇っていました。

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1件のコメント

  1. 「水曜どうでしょう」の恩恵を存分に受けた路線。