日本の次期戦闘機開発協力にイギリスのBAEが挙手 同社と手を組むメリットはあるの?

イギリスが進める新戦闘機開発の「方法論」とは?

 イギリス政府は新戦闘機「テンペスト」と、「テンペスト」に連携する味方の戦闘機やUAV(無人航空機)、地上の指揮管制システムなどを接続するネットワークといったものを一体化した「FCAS(将来航空戦闘システム)」を、2030年代前半に実用化する計画を進めています。

 イギリス政府と「テンペスト」の開発を主導する「チーム・テンペスト」のメンバーであるBAEシステムズは、技術力と資金力を持った国々との協力によって、FCASの開発コストの低減と開発期間の短縮を図るという狙いから、日本における次期戦闘機開発の枠組みが決まる以前より、日本との協力に強い意欲を示しています。

 またイギリス政府もその協力国を募るにあたって、開発国が協力してひとつの戦闘機を開発、製造する国際共同開発への参加を必ずしも求めず、イギリスと参加国双方が将来航空戦力を整備していくにあたって必要な技術の研究や開発で連携できればそれで構わないという、柔軟な姿勢を示しています。

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3Dプリンターで製造された「テンペスト」の風洞実験模型(画像:BAEシステムズ)。

 FCASには2020年11月の時点でイタリアとスウェーデンが協力を決めていますが、両国とも「テンペスト」の共同開発への参加を決定してはいません。

 スウェーデンからはJAS39「グリペン」戦闘機などを開発したサーブもFCASの協力企業として参加しますが、同社はFCASへの協力によって得た技術を、スウェーデン空軍の次期主力戦闘機となる「グリペン」の改良型、「グリペンE」の能力向上や、将来「グリペンE」の後継機を独自開発することになった場合、その開発に活用していくと明言しています。

 サーブの言が物語るようにFCASへの協力は、国際共同開発に比べて自国の独自性を確保しやすく、自国主導で次期戦闘機を開発したい日本にとって、イギリスは協力しやすい相手であるといえます。

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