切り札「ポケット潜水艦」アメリカ本土攻撃を企てたイタリア海軍の奇策 別名カンガルー

ポケット潜水艦を地中海から黒海へ展開 主に陸路で…

 こうして秘密兵器たる超小型潜水艦の運用を始めたイタリア海軍でしたが、それと相前後して、前出のCA型をひと回り大きく発展させたCB型を1941(昭和16)年に開発します。

CB型では、排水量が45トンに拡大、魚雷発射管も上に移動し、搭乗員も4名に増えました。また航続距離も飛躍的に伸びて1610km(浮上航行)となり、中距離の攻撃作戦も可能となります。

性能が向上したことでイタリア海軍はCB型22隻をカプロニ社に発注、1943(昭和18)年9月にイタリアが第2次世界大戦において連合国と休戦するまでに12隻が建造されました。また休戦によって国土が南北に分かれたのちは、北側のファシスト政権(イタリア社会共和国)でも製造されています。

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東部戦線の黒海で展開中のポケット潜水艦。船体に描かれた迷彩からCB型3号艇とも推測出来る。CB型から船体左右上に移動した魚雷発射管は、未搭載の状態である(吉川和篤所蔵)。

 1942(昭和17)年4月、東部戦線のドイツ海軍を支援するためにデチマ・マス部隊分遣隊の黒海派遣が決まり、高速ボートや高速水雷艇、魚雷などとともにCB型ポケット潜水艦5隻が、陸路トラック輸送とドナウ河水路を使い、困難な輸送の果てにルーマニア・コスタンツァの基地に到着しました。

 黒海に展開したCB型ポケット潜水艦部隊は、通常の魚雷攻撃による哨戒任務や待ち伏せ作戦に従事し、1942(昭和17)年5月からの2か月間で24回出撃し、ソ連海軍の潜水艦を3隻撃沈する戦果を挙げています。

【写真】こりゃ小っちゃいわ まさに「ポケット潜水艦」

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コメント

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1件のコメント

  1. 米本土攻撃は日本の潜水艦搭載機によるものばかり取り上げられますが、イタリアもすごい!!
    架空戦記さながらの奇想天外兵器ですね。