切り札「ポケット潜水艦」アメリカ本土攻撃を企てたイタリア海軍の奇策 別名カンガルー

第2次世界大戦中のイタリア海軍の活動は、誰もが知るような華々しさはないものの、潜水艦や小型潜航艇を用いて幾多の戦果を挙げました。その秘密兵器のひとつに、「ポケット潜水艦」なるものがありました。

イタリア海軍立案 幻のニューヨーク湾攻撃作戦

 1942(昭和17)年夏、心理的な効果を期待してアメリカのニューヨーク・ハドソン河口攻撃作戦が準備段階に入り、フランスのボルドー基地で潜水艦「レオナルド・ダ・ヴィンチ」(1490トン)へのCA2型改造ポケット潜水艦の搭載がスタート。潜水艦+超小型潜水艦の「カングーロ」は大西洋上で発進と帰還のテストが繰り返され、良好な成績を修めました。

 しかし、ドイツ海軍の潜水艦「Uボート」の活動によりアメリカ本土沿岸の哨戒が厳重となったことで作戦は延期に。その間に母艦の潜水艦「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が、大西洋に面した南フランスのボルドー沖で撃沈され、さらに翌1943(昭和18)年9月にはイタリア自体が連合国と休戦したことで、イタリア海軍のニューヨーク湾攻撃計画は幻で終わったのです。

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フランスのボルドーにあるベタソム基地で、潜水艦「レオナルド・ダ・ヴィンチ」に搭載された改造CA2型ポケット潜水艦。船体の下半分が潜水艦甲板に埋まった形で搭載される(吉川和篤所蔵)。

 いずれにせよ、仮にアメリカ本土への攻撃が実現していても、ポケット潜水艦1隻、潜水工作員1名の攻撃では、多大な戦果は望めなかったでしょう。しかし、イタリア海軍の存在と意気込みを宣伝するには相応しい作戦になったのではないかと筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)は推察します。

【了】

【写真】こりゃ小っちゃいわ まさに「ポケット潜水艦」

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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コメント

1件のコメント

  1. 米本土攻撃は日本の潜水艦搭載機によるものばかり取り上げられますが、イタリアもすごい!!

    架空戦記さながらの奇想天外兵器ですね。

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