艦上攻撃機にメカジキ カマス… イギリス海軍 命名法の謎 魚じゃない超強そうな名前も
複数人乗りの艦上攻撃機の終了で魚名の艦上機も消滅
とはいえ、第2次世界大戦の末期になると、レシプロ・エンジンの著しい出力向上により、艦上戦闘機と艦上攻撃機を兼ねる機体も登場するようになりました。ゆえに純粋な艦上攻撃機ではないことから、そのような能力を持って生まれた艦上戦闘機兼攻撃機である、ブラックバーン「ファイアブランド」(松明または扇動者、火付け役)およびウェストランド「ワイヴァーン」(空想上の翼竜)は、どちらも魚の名前を付けられていません。
なぜ魚の名称を与えるようになったかについては、はっきりとした理由は不明であるものの、筆者(白石 光:戦史研究家)が考えるに、ソードフィッシュ以降、イギリス海軍の艦上攻撃機はフェアリー社が連続して開発しているため、同社における命名の方針も影響していたと思われます。それに加えて、英語圏では魚雷の俗称が魚を意味する「フィッシュ」なので、このことも関係しているのかも知れません。
だからなのか、イギリス海軍は第2次世界大戦後に開発された誘導魚雷に「タイガーフィッシュ」(アフリカ大陸に生息するタイガーフィッシュ)や「スピアフィッシュ」(マカジキ)の名称をそれぞれ与えています。
なお、「スピアフィッシュ」魚雷は2020年現在、イギリス海軍で現役運用されています。「スピアフィッシュ」は前出したように、試作で終わったものの一連の魚名がつけられた艦上攻撃機と同一名称なので、ある意味、いまでもしっかりとイギリス海軍のなかに、魚名を命名に利用する概念は受け継がれているといえるのかもしれません。
【了】
Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。
海上自衛隊初期の護衛艦
くす、なら、かし、もみ、すぎ、まつ、にれ、かや、うめ、さくら、きり、つげ、かえで、ぶな、けやき、とち、しい、まき
強そうですね。さすが何かを放棄しただけのことはある。