横浜の地下鉄を川崎へ ブルーライン延伸で何が変わる? カギは既存のバスと「たまプラ」
「シンユリネーゼ」の街はどう変わる?:王禅寺~新百合ヶ丘
川崎市内の新駅予定地をめぐっては長らく協議が続いていましたが、王禅寺地区の東端にあたる田園調布学園大学の近くにある川崎市の施設「ヨネッティー王禅寺」付近に決定しました。この周辺は、新23系統などのルートからは外れています。
そして、王禅寺の新駅から2kmほど東に、終点となる新百合ヶ丘があります。このあいだの地域は郊外住宅地でありながら、開発前からの雑木林を取り込んだ緑地公園が点在し、メインストリートを中心に並木で彩る東急とはまた違った開発業者の個性を伺わせます。
周囲に住む人々は「シンユリネーゼ」とも呼ばれ、小田急沿線の中では成城学園と並ぶハイソなエリアでもあります。住宅街は「あざみ野ガーデンズ」のような大きな集客施設もなく閑静ですが、賑わうとすればザッハトルテやフィナンシェが絶品な洋菓子店(漫画『美味しんぼ』にも登場)にできる行列くらいでしょうか。
一方で、商業施設が集中する新百合ヶ丘駅周辺では渋滞が発生しています。あざみ野から新百合ヶ丘まで30分で走る新23系統のダイヤは、時間帯により5分程度の余裕をもって設定されていますが、それでも10分から20分の遅れが生じることもしばしばです。
新百合ヶ丘周辺では地下鉄整備の動きとは別に、狭隘だった駅ロータリーを拡張するほか、小田急バスも長距離の車両送り込みを解消すべく新たな営業所を開設(2021年に運用開始見込み)するなど、渋滞対策が少しづつ進められています。また王禅寺の新駅にバス乗り継ぎの拠点が整備されるため、新百合ヶ丘に集中しているバスの渋滞もある程度、解消が期待されます。
2020年現在は新型コロナウィルスの影響もあり、郊外の住宅地に注目が集まりつつあります。そうしたなかで進められるブルーラインの延伸は、あざみ野~新百合ヶ丘、ひいては横浜~川崎という都市への移動だけでなく、山が入り組んで短距離移動が困難な地域における移動手段としても価値が大きく、近場の移動だけで仕事や所用を済ませるという新しい生活様式の手助けとなるかもしれません。
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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
地下鉄があざみ野に来る前に東急はたまプラーザに誘致しようとしました。いずれ快速(当時)3駅連続停車となるのを避けたかったのでしょう。あざみ野駅ができたころ駅のそばに美しい茅葺き屋根が見えました。一説に今も現役だとか。途中駅の駅名はすすき野はやめてほしいですね、札幌の例を持ち出すまでもなく相模原市にすすき野がありますので。新百合ヶ丘の地下コンコースには小田急線の乗り場から直接降りれる階段をつなげていただいたら便利ですが同駅は数年前橋上に改札を増設したので無理でしょうね。
川崎縦貫鉄道という昔あった話についてですが、尻手黒川道路を、ここを通るのかなと思いながら走ってみましたが沿道には民家は多くなかったです。
川崎市は、特に北部地区の幹線道路整備が非常に遅れています。しかも「整備済み」とされる幹線道路も片側1車線の2車線道路となっている場所がほとんど。尻手黒川道路にせよ、津久井道にせよ、(多摩区の府中街道もですが…)この脆弱な道路整備がバス遅延理由としてはかなり大きいと思います。
地下鉄整備には、街の発展に大きな期待を抱く向きは多いですし、私も開通が楽しみではあります。しかし、それと同様に、川崎市には現状の通行量を鑑みた幹線道路の拡幅多車線化整備も強くお願いしたいです。