「はやぶさ2」のカプセルを「はやぶさ」が運んだ! 大役を「異形の三発機」が務めたワケ

惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰ってきた小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが、3発エンジンのビジネスジェットで羽田に到着。偶然にも「はやぶさ」を意味する「ファルコン」の愛称を持つこの飛行機の来歴を見ていきます。

「ファルコン7X」がレアな3発機になったワケ

「ファルコン20」は、1963(昭和38)年の初飛行後、当時アメリカで隆盛を誇っていた「パンナム」ことパンアメリカン航空に採用されます。その際、アメリカで既存のジェット旅客機よりもエンジン音が静かなところから “ファンジェット・ファルコン” という静粛性をウリにした愛称が付けられ、合計で500機以上生産されました。

 この成功を機に、ダッソー社のビジネスジェットは「ファルコン○○」と名付けられ、シリーズ化するようになりました。

 ちなみに「業界あるある」ですが、アメリカ空軍のF-16の愛称を「ファルコン」にしようとしたところ、すでにダッソー社の「ファルコン」が存在しており被ってしまうため、「ファイティング・ファルコン」としたとか、しないとか。

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ダッソーのファルコン50(画像:Tomas Del Coro[CC BY-SA〈https://bit.ly/3ordJzs〉])。

「ファルコン」シリーズが順調なスタートを切った、1970年代のビジネスジェット業界では、大西洋横断がひとつのベンチマークとされていました。しかし当時、これを実現するためには双発機の場合困難だったのです。

 というのも、当時の双発ジェット旅客機には洋上飛行の規制があったからです。1953(昭和28)年にFAA(アメリカ連邦航空局)が当初は双発プロペラ旅客機の洋上進出距離を制限していた規則を、ジェット旅客機に転用する際、飛行できる距離を「60分で空港にいける範囲まで」と改めました。その後1964(昭和39)年に三発機以上のジェット旅客機には60分の制限を課さないこととなりましたが、双発機が洋上飛行するには、現在とは違いエンジンの信頼性があまり高くなかったことから、通常の旅客便で大西洋横断することはまだ、事実上不可能な状態だったのです。そこで「ファルコン」シリーズでは、垂直尾翼の下に第3エンジンを搭載することで解決することにしました。

 こうして生まれた3発機は「ファルコン50」と呼ばれ、1976(昭和51)年に初飛行。キモの第3エンジンはかつてJAL(日本航空)やANA(全日空)でも主力機のひとつだった「ボーイング727」のような、エンジンの吸気口から排気口がS字になったスタイルのものを採用し、主翼も設計を変更しています。

【写真】ホテルですか? いいえ「ファルコン7X」の客室です

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