「はやぶさ2」のカプセルを「はやぶさ」が運んだ! 大役を「異形の三発機」が務めたワケ

惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰ってきた小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが、3発エンジンのビジネスジェットで羽田に到着。偶然にも「はやぶさ」を意味する「ファルコン」の愛称を持つこの飛行機の来歴を見ていきます。

「ファルコン」ファミリー、日の丸付けたことも

 その後、この3発機をベースにして、ダッソーは新モデルをデビューさせます。たとえばエンジンを換装した派生型「ファルコン50EX」や、機体の大型化や主翼などの設計変更をし、500機以上の販売実績を持つ「ファルコン900」などです。とくに「ファルコン900」は海上保安庁でも採用されたので、見たことがある方もいるでしょう。

Large 20201210 01
海上保安庁のダッソー「ファルコン900」(画像: 海上保安庁)。

「はやぶさ2」関連でスポットライトのあたった「ファルコン7X」は、「ファルコン900」を形状はそのままに、最新の技術を採り入れて開発されたもの。かつてのように双発機が長距離を飛べない時代でもないにも関わらず、3発エンジンのスタイルとしたのは、安全性を保ちながら航続距離を確保するためと思われます。とはいえ、初飛行は2005(平成17)年と、21世紀デビューの飛行機です。

「ファルコン7X」は、性能的には太平洋も横断できる1万km以上の航続距離を持ち、従来の「ファルコン」シリーズより機内の静粛性も増し、燃費も向上しています。ちなみに、お値段的にも、ライバル機とされるボンバルディア(カナダなど)の「グローバル・エキスプレス」やガルフストリーム(アメリカ)のG550より安いとのことです。

 確かに、今回の「ファルコン7X」は、オーストラリアから羽田まで約7,500kmを7時間で飛行し、小さな物体を運ぶには最適の輸送機と言えるかもしれません。とはいえ、誰がこの機体をオファーしたのか私(種山雅夫、元航空科学博物館展示部長 学芸員)は少し気になったりします。

 ちなみに、機体を保有するのは、「Brenzil Pty Ltd」というブリスベン(オーストラリア)にあるビジネス機チャーター会社のようで、何度か日本への飛来歴があるようです。

【了】

【写真】ホテルですか? いいえ「ファルコン7X」の客室です

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス