2020年 注目の自衛隊ルーキー艦5選 新鋭イージス艦から新艦種FFMまで 潜水艦史の転換点に
既存の護衛艦とはまったく異なる革新艦のデビュー
新潜水艦「たいげい」とともに艦名が何になるか大いに話題を呼んだのが、新艦種FFMのトップバッターとして命名・進水式を迎えた「くまの」です。
新艦種FFM 多用途フリゲート「くまの」進水(11月)
「くまの」は、従来の海上自衛隊護衛艦とは一線を画す、多用途性と省力化を図った革新的な艦として11月19日(木)に進水しました。
同艦のいちばんの特徴は、護衛艦の任務であった対潜水艦戦闘や対空戦闘、対水上戦闘などに加えて、掃海艦艇が担っていた対機雷戦についても従事できる点です。そのため、艦種のひとつである「フリゲート」を意味するFFに、機雷の「Mine」や多機能性を意味する「Multi-purpose」の「M」を合わせ、海自初となる「FFM」という新艦種が用いられています。
また従来の護衛艦と比べて、船体のコンパクト化や調達コストの抑制、省人化(乗員数90名)にも配慮した設計になっているのもポイントであり、計器類の配置など細かい点まで艦型(クラス)で統一することで、1隻を複数チームで輪番運航する、いわゆる「複数クルー制」の運用を可能にしています。
なお、海上幕僚監部広報室の話によると、現在、長崎県の三菱重工長崎造船所で建造中の1番艦よりも先行して進水したため、型名は1番艦の命名まで「3900トン型護衛艦」と呼称するといいます。
「くまの」は今後、艤装や各種試験を実施したのち、2022年3月に就役の予定です。
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なお2021年も、海上自衛隊では各種艦艇の進水や就役を計画しています。
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Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
落下する際に不規則な弾道を描く新型ミサイルなどというものを本当に仮想敵が保有しているとしたら、イージス艦では早期の探知はたぶんできないけど、それがわかっていても国民を安心させるために追加配備しなければならないのですかね。イージス艦の火器は火を噴く機会がなさそうだから専守防衛の象徴になるかもしれませんが。