連合軍と枢軸軍 両方と砲火を交えたフランス艦…? 戦艦「リシュリュー」の波乱万丈
「イギリス人は恋と戦争には手段を選ばない。」
フランス陸軍はドイツによる機甲師団を中心とした、いわゆる「電撃戦」の前に敗れ去りましたが、フランス艦隊はほとんど無傷でした。負けたつもりのないフランス海軍は、ドイツ軍によるろ獲(勝利した側が敗れた側の兵器などを獲得すること)を逃れるため、艦艇を北アフリカなどのフランス植民地に脱出させ、「リシュリュー」も北アフリカ、セネガルのダカールに向かいます。
独仏間の休戦条約では、フランス艦隊はドイツに引き渡されず、また親独のフランス・ヴィシー政府は、軍事的には連合にも枢軸にも加わらない中立とされます。「リシュリュー」など脱出艦隊の立場も「親ドイツ的中立」という、ややこしいものでした。
この動きをもっとも脅威に感じたのがイギリスでした。彼らが恐れたのは、ドイツによりヴィシー政府からフランス艦隊が取り上げられて、ドイツ海軍に編入されてしまうことです。そこでイギリスはヴィシー政府へ艦艇の引渡し、または自沈を要求しますが、そのような要求が簡単に通るわけがありません。
しかしイギリスは本気でした。脅威となりそうなものは徹底的に叩き潰すというのが彼らの流儀です。1940年7月3日に「カタパルト作戦」を実行し、イギリス艦隊はアルジェリアのメルセルケビールにてフランス艦隊を攻撃します。そのころダカールに居た「リシュリュー」も、イギリス空母「ハーミーズ」のソードフィッシュ雷撃機隊による攻撃を受け魚雷1本が命中しました。
同年9月24日には「ダカール沖海戦」で、「リシュリュー」はイギリス戦艦「レゾリューション」「バーラム」、空母「アークロイヤル」などと本格的に交戦します。ダカール沖海戦は3日に渡る激戦となり、イギリス艦隊とフランス艦隊はガチンコの艦隊戦を演じたのですが、あまり本気を出すとフランス・ヴィシー政府を本当に敵に回しかねない、と、イギリス艦隊は撤退します。この引き際も外交上手のイギリスらしいといえます。
日本の戦艦大和も主砲全部前に配置したほうが良かったと思う。
実はその案もあった。