退役撤回か スウェーデン軍「グリペンC/D」戦闘機 サーブが可否検討へ その切実な理由

サーブが「グリペンC/D」を2030年代まで使えると踏むワケ

 サーブが「グリペンC/D」を2030年代まで第一線で使用できる戦闘機とすることに自信を示しているのには、当然のことながら根拠があります。

 先に述べた「グリペンE」とその複座型の「グリペンF」は、「グリペンC/D」より高性能であるが故に価格も高く、財政的に余裕のない国にとっては「グリペンC/D」に比べて購入のハードルが高くなっています。このためサーブはグリペンE/Fの生産と並行して、クロアチアのような新興国に対しては「グリペンC/D」の新造機の提案も行なっています。

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「グリペンC/D」への搭載も想定してサーブが開発を進めている「PS-05/A Mk.4」AESAレーダー(画像:サーブ)。

 とはいえ、世界の戦闘機市場での競争は苛烈を極めているため、ただライバルよりも安ければ売れるという訳ではありません。そこでサーブは「グリペンC/D」に市場競争力を与えるための、様々な技術開発に取り組んできました。

「グリペンE/F」には、強力な電波によって敵の戦闘機や早期警戒機、地上のレーダーなどを無力化し、さらに電子的に自機の囮を作り出す能力を持つともいわれる電子戦装置「AREXIS」が搭載されます。サーブはこの電子戦装置について、「グリペンE/F」においては機体に分散配置されている電磁波の送受信装置を一体化し、「グリペンC/D」を含めた既存の戦闘機に搭載できるポッドの開発を進めています。

「グリペンC/D」に搭載されている「PS-05」レーダーは、航空自衛隊のF-15J/DJに搭載されている「AN/APG-63」などと同じ、首降り式の機械式レーダーですが、サーブは「グリペンE/F」に搭載される、機械式レーダーよりも探知能力が高い「ES-05」AESAレーダーの技術を応用した「PS-05/A Mk.4」AESAレーダーの開発も進めており、このレーダーは「グリペンC/D」にも搭載が可能とされています。

 F-2戦闘機も、次期戦闘機による更新完了が見込まれる2040年代までの運用を見込んで、一部の機体には「Link-16」ネットワーク端末の搭載や、「ASM-3」対艦ミサイルの運用能力付与などが実施される予定となっていますが、サーブがF-2よりも大規模な「グリペンC/D」の能力向上計画を短期間でスウェーデン政府に提案できるひとつの理由は、グリペンが輸出実績を持ち、現在も輸出を視野に入れた「商品」であるからなのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【了】

【画像】2021年初頭時点での現行版「グリペンC」のコックピット

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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1件のコメント

  1. レーダーや電子戦装置をサーブが開発? レイセオンかどっかが開発して、サーブが機体に搭載するのではないのかな?