「空中空母」はロマンに非ず アクロン号 ズヴェノー…実在例とそれが生まれ廃れた経緯
戦後のパラサイト・ファイター開発とその終焉
戦後になると、再びアメリカで、B-36「ピースメーカー」に戦闘機を搭載する計画が立ち上がります。このときの運用目的は、航続距離の関係で爆撃時、仮想敵国であるソビエト連邦にたどり着けない護衛戦闘機を「B-36」に数機収納し、空中機動艦隊のような要領で、戦闘空域まで戦闘機を輸送する方法として考えられました。
当初は1948(昭和23)年にB-36の専用パラサイト・ファイターとして計画された専用の小型ジェット戦闘機、XF-85「ゴブリン」を爆弾倉内に搭載する計画が立ち上がりますが、小型で特異な形状が災いし、操作性が悪く、飛行試験の段階で母機への収容が困難ということで計画中止となりました。
次に、B-36の胴体にF-84ジェット戦闘機を、従来のように吊り下げ方式で搭載する「FICON」と呼ばれる計画が立ち上がります。こちらに関しては1955(昭和30)年から1956(昭和31)年にかけて限定的に運用されましたが、搭載機が1機のみ、しかも母機との結合に熟練の技術が必要とされる関係上、維持が困難であるということで、運用は停止されます。
その後は、大陸間弾道ミサイルなど、ミサイル技術の発展や空中給油機の登場により、空中で航空機を運用する空中空母の必要性を唱える人もいなくなり、こうしてその開発史は一旦、終焉を迎えました。
しかし最近(2021年初現在)、無人機や軍用ドローンなどの技術発展により、無人機の活動範囲を広げるという目的で、アメリカ軍が、従来機のC-130などを利用した空中空母案を計画しているという報道もあり、再び登場する可能性も出てきたようです。
【了】
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
楽しみ!
ガウ と ドップ