陸自「装甲救急車」誕生へ 運用面などに見るこれまで後回しになっていたワケ

戦争でも、最低限守られる国際ルールというものがあり、赤十字マークをつけたものを攻撃対象としてはならないのもそのひとつです。しかし戦争の変質により、それもアテにならない昨今、陸自の救急車を装甲化する予算が計上されました。

実際の搬送は…? 救急車の「装甲化」が後回しになっていたワケ

 救護専門の1t半救急車は、師団または旅団の衛生隊の救急車小隊が運用しています。しかし、第一線での即時救護と搬送は原則、中隊単位で行われることになっていますので、そうした最前線においては、中隊が保有する軽装甲機動車や96式装甲車が多用されているようです。

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駐屯地記念日の訓練展示での軽装甲機動車を使った負傷者救護の様子(2015年4月12日、月刊PANZER編集部撮影)。

 搬送された傷病者は、後方の応急医療拠点で衛生隊に引き継がれ、ここで1t半救急車に乗せ換えてさらに後方の医療拠点へ搬送するという運用になっています。乗り換えに手間がかかるようですが、広範な戦闘地域をカバーするのには効率的です。このように基本、後方で活動するということからも、救急車の装甲車化の優先順位は高くなかったのです。

 最前線まで装甲救急車を随伴させ、後方の医療拠点まで直送する方式は理想的に見えますが、広い作戦正面へ少ない装甲救急車が分散してしまい、かえって効率が悪くなるという面もあります。

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軽装甲機動車の後部をコンパネ張りにして、担架を搬入できるようにしている(2015年4月12日、月刊PANZER編集部撮影)。

 海外派遣任務では非装甲のトラックや高機動車にも、乗員室に防弾キットを取り付けるようになっています。それだけでも乗員の心理的負担は軽減できます。赤十字マークにより守られるはずの救急車にも装甲が必要な時代です。陸上自衛隊では次期装輪装甲車と共通戦術装輪車が研究されており、救急車もバリエーションのひとつとして含まれているかもしれませんが、実現するかは、やはり予算が一番のネックになりそうです。

【了】

【写真】レアかも? 街中で見るのと同じ車両だけど「陸自カラー」な救急車

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

1件のコメント

  1. CGのやる気のなさが、すべてを物語っているな。

    真っ先に予算を切られるだろうな。

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