再度の緊急事態宣言 窮地のバス事業の今後は 従来の災害とは違う 「撤退ライン」引く必要
再び緊急事態宣言が発出された新型コロナウイルスの影響。収束後も人の移動は縮小すると予想されるため、バス事業者は長期的な変化を見定め、今後を描く必要に迫られています。具体的に、どのような未来が考えられるのでしょうか。
赤字路線の「撤退ライン」も決めておく必要
サブ・シナリオの一つ目が、「緊急事態が拡大、長期化する」ケースです。大規模運休の長期化に備え、従業員の出向先候補をあらかじめ調整しておく、といった準備が求められます。営業所でクラスターが発生し、多数の乗務員が出勤できなくなった場合に備え、他の営業所から応援に向かえる体制の準備も有効でしょう。
二つ目が、ワクチン供給がうまくいかないなどして、事態が長期化するケースです。収束後の需要回復を期待して、赤字でも運行を継続する路線が多くなりますが、赤字を無限に垂れ流すわけにもいきません。自社の経営体力や路線維持の優先順位を考慮しながら、累積の赤字額や乗車人員などの指標によって「これ以上悪化すると、いったん路線を運行休止にする」といった、撤退ラインを決めておくことが重要でしょう。
サブ・シナリオの三つ目は、国全体では正常に戻ったのに、バスの需要、または自社の市場だけが回復しない、というケースです。リモートワークの定着で、通勤通学や出張などの需要が減少する、あるいは日本の経済全体が不順となり移動が減る、といった背景が考えられます。
筆者が特に重要だと考えるのはこの三つ目です。このような日本社会の新しい姿には、次に大きな変化がこの国に押し寄せるまでの長い期間、向き合っていかないといけないからです。
まとめると、「収束まで/早期に収束/緊急事態が拡大/危機が長期化/収束したが自社の市場は需要が回復しない」という想定ごとに、加えて、運行計画やその情報提供、需要喚起、人事・労務といった領域ごとにマトリクスを作り、個々に考えうる対応策を列記すれば、今後のロードマップ(行程表)が出来上がります。
出張や旅行のあり方や価格競争力が変わって、夜行列車が無くなっていったことを思い出しました。
鉄道も都市圏輸送など異なる部門からの内部補助が受けられなくなってしまいますが、リモートで問題なく遂行できた会議などが全部今さら対面式に戻るとは思えません。