コロナ後のバスや鉄道を救うか「変動運賃」 「ラッシュ時は高い」は受け入れられる?
需要データを運賃以外に反映する方法も
その精緻な予測を、運賃ではなく運行管理に活用することもできます。高頻度運行のバス路線では、車内混雑や渋滞で1台が遅延すると、後続の便が追い付いてしまい「ダンゴ運転」になるという課題があります。
そこで「現在の渋滞状況と、30分後に夕立が来るという予測をAIが分析し、20分後に待機車両を臨時便として差し込むとともに、所定便のダイヤを調整して等間隔運行を図る」とか、そもそも「時刻表には『5~10分間隔』とだけ表示し、その運行間隔を守るよう運行管理する」といった手法が考えられます。
これらの将来像は、法制度や現場のオペレーションの制約から現状では実現困難ですが、混雑や遅延の回避、乗務員ら現場の負荷軽減などに有効です。技術的には既に可能になっており、早期の対応が望まれます。
路線バスをはじめとした公共交通において、許認可の対象である運賃は「動かせないもの」という認識が一般的でした。逆に言えば、この分野の変革により、生産性を向上させる余地が残っていたということでもあります。新しい技術の活用で生まれた収益を、運行頻度などのサービス水準の維持、乗務員の待遇などに事業者が正しく還元することができれば、それが公共交通を維持する原動力になりうるはずです。
【了】
Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。
変動制運賃ではもし出場の時刻で判定するなら鉄道の責により列車が遅れたらどうするのでしょうか。
混雑路線の定期券の割引率を低くして、迂回可能な路線では高くしてはいかがですか。
JRが東名阪の私鉄との一部の平行路線で施行している特定運賃を段階的に他の路線の賃率に近づけていくのはどうですか。JR車内の密状態が緩和され増収にもなり得ます。
ある程度の運賃値上げを認め、地方路線までの維持と混雑緩和(及び女性専用車両に関する対立等)が実現されることを願う
都市交通、私鉄はわかりませんが、民間路線バスは過去にIC化などの口実で時間帯割引回数券を廃止して実質値上げした経緯があるので、もはやオフピーク○割引という余力はないでしょう。
簡単な手続きで値上げ(ピーク○割増し)を許容する方法を考えてないといけません。