「数年に1日」!?の激レア着陸 ANAパイロットどう対応? サンフランシスコで職人技光る

レア着陸にもしっかり準備 飛ぶ前や飛んだあとの裏側

 こういった機会が少ないながらも、高いテクニックが必要なサンフランシスコ国際空港「1R」滑走路への着陸ですが、どのような準備をしているのでしょうか。

「ANAのボーイング777型機のパイロットは、シミュレーターでこのルートの操縦を何度か練習します。サンフランシスコ空港は、特別なルールが決められた進入方式について訓練を受けることがFAA(アメリカ連邦航空局)より求められているのですが、それにはシミュレーター訓練も含まれます。その訓練の合間や日常の訓練で、ボーイング777型機のパイロットはほぼ全員、1Rへの着陸を練習したことがあるといえるでしょう。また練習の際には、過去、実際に着陸したパイロットの経験などをもとに、雛形となる飛び方が社内のマニュアルで紹介され、これを参考にします」(ANAのパイロット)

 また、機長としてサンフランシスコ路線を乗務するにあたっては、口述審査を受けることが必須で、そのなかでは「1R」滑走路への着陸の方法についての知識の確認も実施するのだとか。

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ANAの訓練施設「ANA Blue Base」に設置されているフライトシミュレーター(2019年、恵 知仁撮影)。

 ちなみに、「1R」滑走路に着陸するような強い北寄りの風が吹いている状況では、折り返し便の離陸も通常と異なることもあるとも。日本行きの大型機の離陸は長い滑走路である東西方向の「28L」「28R」、もしくはそれらの滑走路の反対側の「10L」「10R」を使うことが一般的ですが、「1R」を着陸に使うときには、離陸でも「1L」「1R」を使うことが多いそうです。

 ANAがサンフランシスコ線に投入しているボーイング777-300ERの場合、ある程度の貨物や重量があると、滑走路「1R」では滑走路の長さが十分ではないこともあるようです。そのため、ANAの出発便では、場合によっては交差する「28L」「28R」、もしくは「10L」「10R」の離陸を管制官に要求することもあるようですが、そうなると他機との絡みから、やむを得ず1時間程度余計に離陸を待たされる……といった、ある意味アメリカらしいエピソードもあるといいます。

【了】

【航路図】いつもの着陸とレア着陸 ルートの違いは歴然!

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コメント

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4件のコメント

  1. 一生に1回なら激レアではあるが、数年に1回って珍しいの確かだが、それほど”レア”のことになるの?

  2. たまたま非常に高いスキルの持ち主たちに支えられているけど、着陸時の速度や搭乗人数のわりには、人手に頼っている部分が多くて驚く。

  3. SFOは100回以上離発着しました。”通常であれば離陸は「1L」「1R」、つまり南北方向滑走路2本を使って北にむけて飛び”は国内線近距離の小さい機体の場合です。Heavy の機体の離陸は28L, 28Rのどちらかで、1L,1Rだったことは1度もありませんでした。確かにHeavyで1LRの着陸は珍しいですね。フリーウエイの上、近いところを降りていくことになるので、車もびっくりしたのではないでしょうか。
    28LRは同時離陸はないけれど、同時着陸は多いです。1L,R の同時離陸も多いです。自分も動画を撮ったこともありますし、Youtube にたくさんアップロードされています。

  4. 上のスタンダードとされる航路図も実はベイ上で右旋回する珍しいパターンですね。
    1R/Lの離陸機進路と交差してしまうので、多くの日の場合は空港東側のベイには侵入せず、
    空港西の山の上を南下し、左旋回でSan Francisco Bayにでます。