ギリシャが買った戦闘機「ラファール」って? 「タイフーン」との因縁 フランスの意地

フランス語で「疾風」といった意味になる名を冠する「ラファール」は、ユーロファイター「タイフーン」との因縁の深い戦闘機です。出発点は同じながらその仕上がりは大きく異なる両機を比較しつつ、その歩みや特徴などを解説します。

ギリシャがフランス製戦闘機を購入 そもそもどんな機?

 フランスのダッソー・アビエーションが2021年1月25日、ギリシャ政府との間で同社の「ラファールC」戦闘機18機の売買契約を締結しました。「ラファール」はダッソー・アビエーションを中心とするフランスの航空防衛産業が、1980年代に開発した戦闘機です。

Large 210217 raf 01

拡大画像

2017年6月に開催された「パリ航空ショー」にて、展示されたフランス空軍の「ラファールC」(竹内 修撮影)。

 1980年代前半、フランスはイギリス、西ドイツ(当時)と共同で「EFA(ヨーロッパ戦闘機)」という名称の、新戦闘機の開発を行なっていました。しかし自国の開発したM88ターボファン・エンジンの採用および空母艦載機とするために機体の小型・軽量化を望んだフランスと、そのほかの国とでは要求が折り合わず、フランスは「EFA」の開発計画から脱退し、単独で新戦闘機を開発することとなります。その結果、誕生したのがダッソー「ラファール」でした。

 西ヨーロッパ諸国のなかでは経済力、技術力ともに高いフランスにEFA計画から離脱されたイギリスと西ドイツは、イタリアを加えて新たなEFA計画を立ち上げ、後に参加したスペインを含めた4か国でユーロファイター「タイフーン」を完成させます。その間、1990(平成2)年の東西ドイツ統一により、西ドイツに比べて遅れていた東ドイツ地域のインフラ整備に多額のコストが必要とされたことから、新生ドイツが一時、計画からの脱退を示唆したことなどもあり、開発は停滞を余儀なくされたこともありました。

「ラファール」も東西冷戦の終結による軍事費削減の影響などから、計画に若干、遅れが生じたものの、ユーロファイター「タイフーン」に比べれば開発は順調に進みます。空軍型に先行して量産された空母艦載機型の「ラファールM」は、「タイフーン」よりもひと足早くフランス海軍で運用が開始されています。

【画像】英独と決別した理由のひとつ「M88 ターボファン・エンジン」

最新記事

コメント

Leave a Reply to Cancel reply

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. ウエポンシステムが事実上専用になるから、次期の機体に制約が出るんだよな。
    ギリシャもミラージュ2000を使っていたから、それと同時買っている武装が転用できるからすんなりと変えたし、逆を言えばF-16も使っているから、F-16系やEF2000辺りはF-16を買った時の武装が転用可能だからさっさと売らないと、そちらにシェアを取られるわな。

  2. 近年はスクランブルやポイント攻撃以外の戦闘機の役割がよくわからない。
    攻撃目標物の破壊ならば、
    複数の高精度スパイ衛星と
    複数の偵察および攻撃目標座標ロック用の長時間作戦可能ドローンと
    無線リンクさせた中・長距離超高速ミサイルで
    偵察も攻撃も済んでしまう。

    一番謎なのが、対衛星兵器。
    全ての作戦に必要不可欠な敵対国の衛星を
    軌道上で無能にするか破壊することは作戦上非常に有効だが、
    衛星軌道上にデブリを増やすだけで、そのうち自国や同盟国の衛星まで悪影響を及ぼすだろう。
    墜落させて大気圏で燃やしてくれるなら話は別だが。

    現代は大規模な消耗戦や破壊でなく、
    生物・環境兵器、通信妨害・遮断、金融・通貨の遮断、国の閉鎖措置、情報戦略で
    相手国を孤立化・疲弊させる方法が主流なので、
    「攻撃」方法そのものが変わってしまっている気がする。