東北新幹線の寸断を人海戦術でつないだ高速バス 舞台裏のドラマ 活きた災害対応の経験

福島県沖地震の影響で寸断された東北新幹線。その代替のひとつとなったのが、新型コロナの影響で多くの路線が運休していた高速バスです。機動的対応が実現した背景には、過去の経験の積み重ねがあります。

応援に次ぐ応援 背景にある法令

 東北各地と首都圏各地を結ぶ路線を運行しているジェイアールバス東北は、自社だけでは需要に応じきれないと判断し、共同運行先の国際興業や成田空港交通とともに続行便や臨時系統を設定すると同時に、グループ会社のジェイアールバス関東やジェイアールバステック、さらに他路線の共同運行先である東日本急行(宮城県)にも協力を求めました。

 なお東日本急行は、ウィラーの新宿~仙台線の続行便も担当しました。この両社は、ふだんから続行便の運行で協力関係にあります。こうした柔軟な対応の背景には、ある法令の存在があります。

 路線の輸送力が不足する際に他社へ運行を委託する「貸切バス型管理の受委託」は、日ごろから、帰省ラッシュ時など需要集中日によく活用されています。この制度が始まる前年の2011(平成23)年、関係者が制度の詳細を検討していた最中に、東日本大震災が発生しました。国土交通省の幹部が、特例として、正式決定前の同制度を活用することを即座に判断。このときは京王バスの新宿・渋谷~仙台線の続行便を富士急行グループが担当するなど、同制度が東北発着の足の確保に貢献したのです。

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4台体制でバスタ新宿へ乗り入れた京王バス。乗車改札の様子(画像:京王電鉄バス)。

 臨時便や続行便を走らせるには、車両や乗務員の確保、ウェブ予約の受付準備や予約センターの増員のほか、車両の停泊場所や乗務員の休憩施設を手配することも必要です。所要時間5時間30分程度である東京~仙台間の場合、停泊場所へ回送し電話で乗務終了の点呼を受けてから、復路の乗務に向けた勤務開始まで、8時間以上空けることが法令で決まっています。ふだんは共同運行先の営業所内の仮眠室、周辺のアパートなどで仮眠しますが、急に台数が増えるとそれも不足します。

 今回は、日勤者が短時間の休憩を取る部屋を、急きょ区切って、共同運行先の乗務員に仮眠場所として提供した事業者もありました。

【写真】助っ人「東日本急行」東京駅に見参

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