東北新幹線の寸断を人海戦術でつないだ高速バス 舞台裏のドラマ 活きた災害対応の経験

福島県沖地震の影響で寸断された東北新幹線。その代替のひとつとなったのが、新型コロナの影響で多くの路線が運休していた高速バスです。機動的対応が実現した背景には、過去の経験の積み重ねがあります。

より大規模な災害に対応できるか 課題も

 今回は、緊急事態宣言下で人の移動自体が減っており、バス事業者の輸送力に余裕があったことから、おおむね、素早く、十分な量の対応が行われたといえるでしょう。

 しかし、体制が整う前の14日(日)朝、仙台駅の高速バス乗り場にできた長蛇の列を報道で見ると、大学入試などの用件でどうしても出かけなければならない人たちには、不安も大きかっただろうと推察されます。

 さらに、より広域の災害や、首都直下地震などによる大都市圏全域での鉄道網不全であったなら、と考えざるを得ません。

 阪神大震災が起こった26年前、当時は大手私鉄系のバス事業者が多くの貸切バスを保有しており、他の地方から応援に来た事業者と協力しながら代行輸送に当たりました。しかし今では、大手私鉄系は貸切バス事業を縮小し、代わりに中小事業者の比率が大きくなっています。緊急かつ大規模な鉄道代行輸送を求められた際、バス業界内で効率的に情報を共有し、統率のとれた形で運用する方法を研究しておく必要を、あらためて認識させられました。

【了】

【写真】助っ人「東日本急行」東京駅に見参

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

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