復活「多摩湖駅」 なぜ西武は3線も多摩湖へ向かっているのか 物語る「競合」の歴史

西武遊園地駅が「多摩湖駅」に改称されます。ただ、1979年まで多摩湖駅だったため、実質“復活”です。ところで、多摩湖周辺へは西武鉄道の多摩湖線、狭山線、西武園線が延びていますが、なぜ3路線も湖を目指したのでしょうか。

多摩湖畔に複数の駅 西武の3路線が延びている

 2021年3月13日(土)、西武多摩湖線の終点「西武遊園地駅」(東京都東村山市)が「多摩湖駅」に、西武山口線(レオライナー)の「遊園地西駅」(埼玉県所沢市)が「西武園ゆうえんち駅」に、それぞれ改称されます。西武遊園地駅は1979(昭和54)年まで多摩湖駅という名称だったので、約40年ぶりに「多摩湖駅」が復活となるわけです。

 1979年は、前年末のプロ野球球団「西武ライオンズ」(現・埼玉西武ライオンズ)の発足に続き多摩湖畔に西武ライオンズ球場がオープンした年でもあります。この時、西武狭山線の狭山湖駅(埼玉県所沢市)が「西武球場前駅」に改称されています。なお西武遊園地駅の500mほど東には、西武西武園線の西武園駅(東京都東村山市)があります。

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西武遊園地駅付近を走る西武多摩湖線の電車。多摩湖の堰堤から(2021年2月、内田宗治撮影)。

 以上をまとめると、多摩湖に向かって多摩湖線、狭山線、西武園線と、いずれも単線の路線が3本も延びてきているわけです。昔からの宿場町などでもない多摩湖へ、なぜ3本もの路線が敷かれたのでしょうか。

 理由は、大正から昭和初期にかけて、東京郊外の行楽地への日帰り旅行が盛んになったためです。背景として、マイカーなどがまだ普及していなかった当時、郊外へ鉄道網が発達してきたことにより、それまで不可能だった緑豊かな郊外へと日帰りで出かけられるようになったことがあります。

 多摩湖の正式名称は村山貯水池です。人口増加で水不足が懸念された東京市(当時)の水がめとして、1927(昭和2)年に竣工した人造湖です。都心から電車で60~90分で行ける狭山丘陵に、東洋一の広さ(湛水面積約1.5平方キロ)と謳われた風光明媚な湖が出現したのは、かなりインパクトのある出来事でした。

【懐かし写真】SLだった頃の山口線

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1件のコメント

  1. 1979、狭山湖に「西武ライオンズ球場」がオープンされて「多摩湖」駅から「西武遊園地」駅に改名されたが、1985に山口線の「レオライナー」が開通されて「遊園地西」駅が開業されたからに対し、その上「遊園地西」駅近くに「西武園ゆうえんち」西口のちゃんとしたエントランスを改造するからこそ駅名を「遊園地西」駅から「西武園ゆうえんち」駅に意識され、これまで中央口だった「西武遊園地」駅は階段が長くて大変だったにして再び「多摩湖」駅に戻ってしまうんだ。