「五式戦闘機」「マスタング」…急造品なのに高性能を発揮したWW2期戦闘機4選

たった120日間で作られた大戦最高傑作機 P-51「マスタング」

 第2次世界大戦の勃発直後、ドイツ軍に押されるイギリスは、不足する戦闘機を補うため、P-40戦闘機の購入をアメリカへ申し込みました。しかしカーチス社の工場が最大限稼働してもイギリス向けの機体は満足に生産できる状況ではありませんでした。

 そうしたなか1940(昭和15)年2月、当時、新興の航空機会社でイギリス向け練習機の生産実績があったノースアメリカンに同機のライセンス生産が可能か持ち掛けたところ、社長のダッチ・キンデルバーガーは、設計主任エドガー・シュミードと相談し、P-40よりもさらに高性能な機体をすぐに作れるとプレゼン。結局、細かな要求をつけず「優秀な戦闘機を120日以内に完成させる」という条件で生まれたのが「P-51」でした。

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オリジナルのアリソンエンジンを搭載するP-51「マスタング Mk.I」(画像:帝国戦争博物館/IWM)。

 大戦中とはいえ、新型機の開発には1年以上を費やす航空機会社が多いなか、同機は本当に短期間で設計され、1940(昭和15)年10月には初飛行しました。とはいっても1942(昭和17)年1月から配備された、「アリソン」エンジンを搭載した初期生産型の「マスタング Mk.I」は平凡な性能で、イギリスでは戦闘機というより、地上攻撃や偵察機として使用されていました。

 この機体が劇的な変化を遂げるのは、ロールス・ロイスの技術者が同機に目をつけ、ロールス・ロイス製の「マーリン エンジン」に換装し、高高度性能をアップさせたB型以降です。のちにアメリカでもV-1650「マーリン」としてエンジンがライセンス生産され、P-51Bは戦闘機としての本格配備が始まります。D型以降は涙滴型キャノピーにするなど、広い視界の確保が行われ、最終的には、大戦中の最高傑作機とまで呼ばれるようになりました。

【了】

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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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