輸送機にもあるスクランブル 空自C-2輸送機の新型コロナウイルス患者搬送訓練に密着

ドクターヘリも防災ヘリも飛べないなかの「出番」

 島根県隠岐の島は、本土の鳥取県境港市まで直線距離で約80km弱あり、高速船で松江市七瀬から沖の島町西郷まで1時間9分。空路定期便なら出雲空港から隠岐空港まで約30分かかります。C-2輸送機なら、境港市にある美保基地を離陸して約20分で隠岐空港に着陸できます。

 美保基地のC-2による急患輸送は、2018年3月から2021年3月までに16回、実施されています。隠岐の島からの急患輸送は2021年3月18日現在の実績で、2019年度3回、2020年度9回となっています。その年の天候状況によって、出動要請回数にはバラツキが出るそうです。

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隠岐空港にて。隠岐地区から患者が搬送され、機内から機材を持って患者を受け入れるため救急車へ向かう(2021年3月15日、月刊PANZER編集部撮影)。

「こんにちは。
初めまして。突然のお手紙を失礼致します。
私は昨年、隠岐より美保基地へ緊急でC2輸送していただきました救急患者の母親です。
あの日の夕方、私の息子は仕事中、事故にあい、本土に輸送するという事になりました。
ですが、天候が悪く、ドクターヘリも防災ヘリも飛べず、最終的に美保基地の皆様方のお力をお借りすることとなりました。
命に別状はないとはいえ、当日中の搬送がカギになるという事でしたが、刻々と過ぎる時間と次々と絶たれる手段に不安と焦りと離島医療への危機感を感じていました。(中略)
深夜にも関わらず、要請してから最も早く対応していただきました。
空港で暗闇の中、見えた明かりは忘れることができません。クルーの皆様の対応に心が救われました。
とても貴重な体験に、痛みで顔が歪んでいた息子も、不安でいっぱいだった私も安心した事もあり、不謹慎にも笑みがこぼれました(後略。航空自衛隊 美保基地『ほのぼのお便りコーナー』より抜粋)」

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飛行中に患者のバイタルチェックをする医療関係者。担架固定架台下段に患者ダミー人形を収容する陰圧カプセル、上段に各種機材(2021年3月15日、月刊PANZER編集部撮影)。

 こうしたなか、自衛隊にも新型コロナウイルス感染症患者の搬送要請が舞い込むようになります。自衛隊全体では、同感染症患者を2020年4月から2021年2月までに17回79名、空輸しています。

【写真】新型コロナ患者の空輸訓練 C-2輸送機の機内の様子など

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