自動運転社会の鍵を握るのは子供たち? 社会受容性獲得にあの手この手【Merkmal】
根強い「運転手無人」への抵抗感
これが無人運転となっていくために、社会受容性をいかに高めるかが今回のイベントのテーマだが、無人運転への抵抗感も根強い。
北九州空港と最寄り駅のあいだで中型自動運転バスの実証実験を行った西日本鉄道の日高 悟氏からは、アンケートの結果9割の人が、自動運転バスを使いたいと答えている一方、「何かあった際に不安」と話す人が多く、現状で保安要員は必要だという。
「自動運転は(人口減少や高齢化、運転手不足といった)社会課題と切り離せない。地域や社会に発信する際には『大義』が必要だ」。登壇した博報堂の津田啓仁氏はこう話す。乗る人も乗らない人も、自分ごととしてとらえられるようには、SNSや口コミなどを通じた「賛同の連鎖」が重要だと説く。
すでにシンガポールで自動運転バスをの商用運行を実施しているウィラーの村瀬茂高社長によると、同国では国が交通のマスタープランを示し、バス停などに「ここはマスタープランに基づき自動運転のバス停になる」といった将来像を掲示している。「国土の有効活用のため、自家用車を減らす必要性があるという大前提から、みんなが理解している」とのこと。ウィラーのユーザー調査でも、マイカーから自動運転バスへの移行を77%の人が受容しているという。
マクロに見た「大義」だけでなく、住民レベルで自動運転バスに「親しみを持ってもらう」取り組みも多く報告された。たとえば島根県飯南町では、地域の子どもに自動運転バスへ乗ってもらう取り組みを行っている。担当者は、「自動運転バスを必要とする高齢者に乗ってもらうだけでなく、『高度な技術をもっとた子どもたちに教えてあげたかった」と話す。
レベル3の実証実験が始まった福井県永平寺町でも、自動運転カートを小学生の下校支援に使っている。以前のは路線バスから、ゆっくり走るカートに変わったためで行っており、スピードがゆっくりになるので遊ぶ時間は減ったがが少なくなる一方、子供たちは「友達としゃべ喋る時間が長くなり楽しい」のだそうだ。
コメント