自動運転社会の鍵を握るのは子供たち? 社会受容性獲得にあの手この手【Merkmal】
社会受容性のカギは「見た目」と「子供」?
まだ自動運転ではないが、ウィラーが東京の池袋で運行している小型の電気バス「IKEBUS(イケバス)」も、園庭のない保育園の子供たちを公園まで送迎する役割を担っている。その公園に訪れてみると、子供たちがイケバスに集まり、「イーケーバースー!」の掛け声で集合写真を撮る光景に遭遇した。
ウィラーによると「日常茶飯事ですよ」とのこと。村瀬社長はイケバスを自動運転化したい意向を示しているが、この子たちはまさに「自動運転ネイティブ」になりそうだ。
乗客の多くが無人運転になることに抵抗を示した西日本鉄道の場合、車両は通常の中型バスだ。北九州空港と最寄り駅という、どちらかといえば地域住民向けではないコースということもあるかもしれないが、日高氏は「うちのは普通のバスですから……」と話す。
社会受容性を高めるうえで、「見た目」の要素は案外大きいのかもしれない。この点、親しみを持ってもらう仕掛けを意識的に行っているのが、ひとり乗りロボットや警備ロボット、宅配ロボットなどを手掛けるZMPだ。
ZMPはそうしたロボットの多くに「目」を描き、音声も出せるようにしている。同社取締役の西村明浩氏は、「宅配ロボットなどを導入した事業所では最初、『なんだこれ?』という反応でしたが、1か月くらいしたらなじみました」という。
「自動運転バスのチラシを配布したら路駐車の数が減り、バス停の追加設置により住民の利用も拡大しました。いまでは住民の方が自らSNSで発信し、お客を作ってくれています」。
こう話すのは、茨城県境町で2020年11月から地方自治体初となる自動運転バスの定常運行を実施しているBOLDLYの佐治友基社長だ。同社はフランス製の小型バス、ナビヤ「アルマ」で運行しているが、車両はもちろんのこと、地域に入り込んでの周知活動が不可欠といえそうだ。
なお、経済産業省は今回運行を開始したレベル3の自動運転サービスを2025年までに40か所へ拡大することを目指している。無人車両のなかで物販など付随サービスも模索していく考えだ。
【了】
提供:Merkmal
「Merkmal(メルクマール)」とは……「交通・運輸・モビリティ産業で働く人やこの業界へ進出したい人が、明日に役立つ気づきを得られるニュースサイト」として発足しました。MaaS、CASE、環境への対応、自動運転技術など、変革著しい交通・運輸・モビリティ産業にまつわる最新ビジネス情報を独自の視点で発信しています。
Writer: Merkmal編集部
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