燃料タンクで敵の弾を防ぐ…? 戦車や装甲車でそれが有効である納得の理由!

どのような兵器であれ「燃料タンク」といえば弱点のひとつといえそうですが、一部の戦車や装甲車では、これを防弾に活用しているといいます。冗談のようなお話ですが、フタを開けてみれば、そこには納得の理由がありました。

湿式弾薬庫 ただし湿らせるのは「燃料」

 ギリギリに「詰めた」設計と言えば、ソ連の戦車「T-55」も燃料タンクについてトンデモない使い方をしています。主砲弾の弾薬庫と燃料タンクを一体化し、燃料が砲弾を包み込むような構造になっているのです。二重に危険物をまとめるという、狂気の沙汰にも見えます。しかもこの弾薬燃料庫も車体前面に配置されています。

Large 20210415 01
ソ連のT-55戦車。戦後第1世代戦車の代表格で史上最も多く生産された戦車といわれる(画像:ポーランド国防省)。

 しかし、これも軽油の引火しにくい性質を応用したもので、車内に火災が発生しても砲弾の誘爆を防ごうという「湿式弾薬庫」となっているのです。誘爆防止、弾薬庫と燃料タンクの容量確保という一石三鳥のようなアイデアでした。

Large 20210415 02
T-55の燃料系統図。左側の1が車体前面装甲、直後の2が弾薬燃料庫。右端がエンジン(画像:ソ連軍「T-55取扱説明書」より)。

 ちなみに戦車の燃料タンクは、1か所だけでなくいくつかに分割されているので、ひとつの燃料タンクに被弾しても燃料がなくなって行動不能になるということはありません。BMP-1の後部ドア燃料タンクの容量は122リットルと全搭載量の4分の1です。長距離行動しないときには満タンにせず、軽油の代わりに水や砂を入れていることもあるようで、これでも防御効果は期待できます。そして、やはり乗員にしてみれば、燃料よりは安心感があるようです。

【了】

【画像】ホントにいちばん前 「メルカバ」の燃料タンク周辺断面図

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. へー、M1エイブラムスってディーゼルエンジンにしたんかぁ(遠い目)

  2. M1と同世代の旧ソ連のT80系もガスタービン。まだ現役の国もたくさん

    M1は軽油も使えなくはないらしいけど普通ガスタービンはジェット燃料(ほぼ灯油)

    灯油がガソリンよりは引火の危険がマシのは同じではあるけど。

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. 都市に迫るロシア軍の「弾道ミサイル」が“空中で木っ端みじん”になる瞬間をウクライナ軍が公開 追尾から撃墜まで詳細に
  3. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  4. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  5. 旅客機の右エンジンに「侵入者」が直撃! 離陸直後に“炎が吹き出す”戦慄映像が公開される
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開