迷走どころか屈指の超名機「ボーイング737」 歴史は半世紀 選ばれ続ける理由とは?

サッと振り返る「737シリーズ」の変遷

 こうしてボーイング737の初期型は、1968(昭和43)年に運航が開始されます。ライバルとしては、1965(昭和40)年デビューのDC-9や、同じ機体コンセプトを持つフランスのダッソー・メルキュール、ドイツのVFW614などでした。

 737のオリジナルは細長いエンジンを採用した-100型と-200型でしたが、その後、様々な改良型が登場します。1980年代には、より効率の良いターボファン・エンジンを搭載し、2人乗務を実現した種類の機体長を選べる-300、-400、-500型の「737クラシック」が登場します。

 1990年代にはトレンドとなったウィングレット(主翼先端に立ち上がった板。燃費向上などに寄与する)を装着した-600、-700、-800、-900型、さらに767、777のシステムを採り入れた「737NG(ネクスト・ジェネレーション)」と変遷しますが、いずれも胴体の構造は踏襲されました。

 そして、2010年代に入り実用化が進むのが冒頭の「737MAX」です。ここでも胴体設計はほぼそのままながら、「737NG」より効率の良いエンジンの採用や客室インテリアの刷新などが行われています。

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ボーイング737-500。737シリーズのクラシックにあたる(乗りものニュース編集部撮影)。

 日本では、737-200をANAが採用したことが飛躍の原点で、「737クラシック」はエアーニッポン(ANK)、JALエクスプレス(JEX)、日本トランスオーシャン航空(JTA)などが採用し、日本の津々浦々で就航しました。「737NG」はANAグループ、JALグループとも採用。スカイマーク、ソラシドエアなど後進のエアラインでは主力機で、デビューから半世紀以上が経過してもなお、国内では100機以上が運航されています。ちなみに、MAXを導入しているエアラインは、国内ではまだありません。

 なお、このような歴史を作った737ですが、キック・オフ・カスタマー(初期発注をすることで、新型機の開発の後ろ盾となるエアライン)であるルフトハンザ・ドイツ航空などが運航していた最初のサブタイプである737-100型は、日本では導入のないタイプだったので、是非ともずんぐりむっくりな実機を見てみたかったです。

【了】

【見た目は今とはかなり違う?】半世紀前の「元祖737」

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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2件のコメント

  1. 傑作期?傑作機の間違いでは?

  2. この機材が来るとハズレ感がハンパ無い。
    以前ならB747が普通に飛んでいた路線なら尚更感じる。