あり合わせ上等! で急造したけどけっこう使えたWW2期の戦車や自走砲など陸上兵器5選

戦時中、必要に迫られ急造した兵器には、なにかとお国柄が見えるもの。あり合わせでも堅実に作られたり、劣悪な状態でも使えるようにしたり、急造でも大量生産ベースに乗せたり……そうしたWW2期の急造陸上兵器を5つ見ていきます。

大戦中の急速な戦場の変化に対応した急造兵器たち

 目まぐるしく戦場の兵器が進化した第2次世界大戦では、ときに兵器開発側の判断が現場要求に追いつかなくなり、間に合わせや数合わせの兵器が登場します。しかし、ただの急造品だったものが、高い評価を受けることも。そうした、慌てて作ったわりにはかなり役に立った、大戦時の陸上兵器について見ていきます。

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M3「グラント」中戦車(柘植優介撮影)。

どこでもいいからデカい砲をつけよう! 「M3中戦車」

 1939(昭和14)年9月の大戦勃発時、アメリカ軍は旧式のM2中戦車しかなく、装甲兵力の中核となる中戦車に不安を抱えていました。まだ参戦していないとはいえ、ドイツ軍が持つIII号、IV号戦車相手では不利なことは確実で、せめて75mm戦車砲を積まないと将来の戦車は戦力にならないという判断が下されます。

 ただ、急に75mm砲を備えた旋回砲塔を作ることは、さすがのアメリカでも困難で、車体右側に出っ張りを作り、そこに「M2 75mm砲」を搭載し、旋回砲塔には別に37mm砲を装備し、1941(昭和16)年3月から生産を開始したのがM3中戦車でした。

 大きな胴体に無理やり砲を付け、その上にまた砲を乗せた多砲塔で奇妙な形の戦車は、配備直後はアメリカの参戦前だったので、おもにイギリス軍へレンドリースされたものが戦闘に参加しました。当時まともな戦車が不足していた北アフリカ戦線では、M3は「グラント」の愛称を付けられ、「エジプト最後の希望」とも呼ばれ、ガザラの戦いやエル・アラメインの戦いなどに参加しています。

 また、ソビエト連邦向けにも貸与されクルスクの戦いに参加するなど、アメリカ軍以外での運用が目立つ車両です。そして足回りやエンジンなど、後のM4中戦車に引き継がれる部分も多く、いびつな形の割には重要な戦車となりました。

【画像】ホントは最初からこうしたかった…英「チャレンジャー」巡航戦車

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コメント

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2件のコメント

  1. 記事で説明の有るラッチュバムを積んだマルダーは
    マルダーIIIですが、
    写真のマルダーは、恐らく7.5cm PaK40を積んだマルダーIII M型で少し違います。

    • ご指摘ありがとうございます。修正しました。