御堂筋線・なかもず駅は「堺筋線の終点」のはずだった? 大阪市営が「堺市乗り入れ」の経緯

延伸路線を急遽「乗り換え」

 一方、大阪市営地下鉄の堺市乗り入れは、府と堺市により古くから要望が行われてきました。1971(昭和46)年の都市交通審議会の答申第13号では、大阪圏の高速鉄道(いわゆる地下鉄)について、「1985(昭和60)年を目標に新設すべき路線」として、地下鉄の堺市乗り入れが挙げられています。

 その乗り入れルートは、御堂筋線ではなく、堺筋線の延伸ルートでした。動物園前駅から天下茶屋駅で南海電車に接続し、その後東に向きを変えて、杉本町駅でJR阪和線に接続し、中百舌鳥駅へ向かうというものです。

Large 210421 midousuji 02
堺筋線の66系電車(画像:photolibrary)。

 堺筋線延伸ルートはその後進展が見られないままでしたが、先述の御堂筋線の輸送力増強計画から、車両基地の用地確保先として、あびこから堺市への延伸の計画が急浮上します。なかもず駅付近に車庫の用地が確保できる見通しが立ったことから、計画は実現に向けて進むこととなりました。

 1980(昭和55)年に御堂筋線のあびこ~なかもず間は緊急整備路線に位置づけられ、建設が進められます。そして1987(昭和62)年、御堂筋線としては17年ぶりの新規開業区間として堺市内の区間が開業、全通に至ったのです。

 ちなみに、御堂筋線の中津~江坂間は高架になっています。都市の郊外で用地取得が容易なことなどの背景から、コストや建設期間の面で有利な高架線が選択されたものです。では、後に開業した堺市内の区間はなぜ地下線になっているのでしょうか。

 これは、大和川を渡る際に、既設の「吾彦大橋」のすぐ隣に新たな橋をかけることになるために調整が難しかったことと、ルート上にある地上道路が狭く、高架橋を建設する空間的余裕がなかったことが理由です。大和川の下をくぐるため、大阪市・堺市の両市側で線路が30パーミル近い急勾配となっています。

【了】

【高架道路に挟まれる地下鉄、活躍する古参車両、御堂筋線の見どころをギャラリーで見る】

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

5件のコメント

  1. 市川市の東西線、藤沢市のブルーラインのように堺市も分担金を拠出したのですよね?

  2. Osaka Metroは民営化したんだし、市外に出てもよい。北大阪急行も吸収合併していくだろう。

    • 大阪も千里での万国博覧会
      鉄道アクセルが
      御堂筋線からが便利だが
      当時は大阪市営地下鉄
      市営が市外に延長するわけにはいかないから
      第三セクターの「北大阪急行」により開業

  3. 堺市にも北海道小樽市みたいに標高の高い現場があるのか!

  4. 大阪地下鉄は大阪市外へ敷設する時は元々有る私鉄駅と離れたところに駅を設置していたのに、中百舌鳥は南海の駅に隣接させたんでしょうか、南海は行政に嫌われているのでしょうか?