橋をくぐるMiG-17 コレが実は大事件! コトの顛末と地元紙1面を飾った写真の「真実」

動機はストレス? 当然厳罰が下るかと思いきや…

 暴走機パイロットはすぐに判明します。ソ連海軍航空隊チェルニゴフ戦闘機連隊に所属していた、当時30歳のワレンティン・プリヴァロフ大尉です。取り調べに対し、興奮のあまり「誰にも見られていない」と思っていたらしいですが、そんなわけあるはずがありません。単座機で一匹狼のように戦う戦闘機乗り独特の「エアフーリガン」的感覚かもしれません。

 一歩間違えば大事故に繋がる無茶苦茶な飛行で、マリノフスキー国防相も乗り出して調査委員会が設置されます。

 大惨事を起こしかねない自滅的な行為に当然、軍は懲罰を科そうとしますが、地元共産党ノヴォシビルスク地方委員会のゴリャチェフ第一書記はブレジネフ書記長に電話して、シベリアの地に勇気を与える話題を提供したパイロットを処罰しないように働きかけました。軍だけでなくソ連共産党のトップまで巻き込んで、話はややこしくなっていきます。しかし大ごとになったわりに下された処分は、訓告の上10日間の飛行停止処分(有給休暇消化)というものでした。この呆気ない決定の経緯は、現在では不明です。

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ノヴォシビルスクはノヴォシビルスク州の州都で、シベリアの中心的都市(画像:乗りものニュース編集部)。

 後日、ノヴォシビルスク在住のアレクサンダー・カマノフという記者がプリヴァロフ本人にインタビューしています。プリヴァロフは最初、ソ連海軍赤旗バルチック艦隊の第691戦闘機連隊に所属していました。しかし西側と対峙するバルト海の精鋭部隊から内陸部の「平和ボケした」シベリアに転属となり、ストレスが溜まっていたそうです。ノヴォシビルスク市街地上空を飛行するたびに、いつかこの橋をくぐってやろうと決心していた、と回想しています。相当なエアフーリガンだったようです。

飛行機が残念すぎて主役を食ってしまった旧ソ陸軍のプロパガンダ写真

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コメント

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7件のコメント

  1. 追跡され撃墜されたのかと思いました。 
    写真も集合写真から失脚した政敵だけを消すなどということが行われていましたね? 

    日本ではANA機をハイジャックした犯人がレインボーブリッジの下を通るよう命じたが、(このあと斬殺された)パイロットはソフトに拒絶したそうですね。あの殺人犯が訴えたという空港のセキュリティホールは完全に解消されたかは知りません…

  2. 橋の下を飛行機でくぐるといえば、映画「サンダーバード6号」では、タイガーモスで高速道路上を横断する高架橋の下をくぐる実写シーンがある。 
    撮影許可の条件として、タイガーモスの車輪を高速道路の路面に付けた状態で高架橋をくぐらなければならなかったが、何を間違ったか、飛行したままでやってしまった。
    当然、撮影許可は取り消され、パイロットは拘束されたが、刑事裁判で無罪を勝ち取ることには成功した。

  3. この写真はほんものか疑わしいでしょう。なぜなら航空機が橋下からこの写真の位置まで飛行する間に橋下の飛行経路の両側の水面があそこまで高く上がることはあり得ません。まあ航空機がプロペラ機ぐらいゆっくりと飛んでいれば別ですが。

    • あの…最後にそう書いてありますけど…

    • 記事ぐらい全部読めや

  4. この写真はフェイクです。

  5. これは、写真ではありません、絵ですね。
    水面スレスレに飛行して、橋をくぐった後飛び上がる時に、こんなに水しぶきが跳ね上がるのはおかしいですね。橋をくぐる時に失敗して、水面に飛行機が当たって、飛び上がるのなら、ここまで水が跳ね上がるのは分かりますが、水面を飛行したいただけなら、ここまで水は上がらないですよね!。