「尾翼なんて飾りです!」稀代の設計者ノースロップが追求した「全翼機」実用化までの道のり

飛行機というと、主翼に細長の胴体、複数の尾翼というのが一般的な形状です。しかし、いまから100年も前に主翼と胴体が一体化した「全翼機」を考え付き、具現化した男がいました。彼の理念がアメリカ空軍に届くまでを振り返ります。

第2次大戦中も絶え間なく開発

 第2次世界大戦中の1941(昭和16)年12月、アメリカ陸軍航空隊(アメリカ空軍の前身)は1万ポンド(約4530kg)の爆弾を搭載して往復1万マイル(約1万6000km)を飛行可能な超長距離爆撃機の提案要求を各航空機メーカーに出します。結果、この爆撃機の開発はコンソリデーテッド社とノースロップ社が請け負うことになりました。

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第2次世界大戦終結直後の1947年10月に初飛行したXB-35「フライングウイング」。推進はピストンエンジン(画像:アメリカ空軍)。

 コンソリデーテッド社の案は当時の新型爆撃機B-29を一回り大きくした空前の巨大機であったのに対し、ノースロップ社の案は先進的な全翼機でした。史上初の大型全翼機となるため、設計に必要なデータ収集と全翼機特有の飛行特性をパイロットに習熟してもらうことを目的に、実機の三分の一の実証機が製作されます。これが「N-9M」で、1942(昭和17)年12月27日に初飛行しました。

 275馬力エンジン双発で最大速度415km/h。全翼機らしい高性能ぶりでしたが、飛行の不安定性も露呈しました。その問題を解決するためにノースロップ社は時間を要してしまい、大型爆撃機の開発はコンソリデーテッド社に先を越されてしまいます。

 コンソリデーテッド社の機体は大戦終結後の1946(昭和21)年8月に初飛行し、B-36「ピ-スメーカー」として採用されました。一方、ノースロップ社の全翼試作爆撃機XB-35「フライングウイング」が初飛行したのは、B-36に遅れること1年後の1947(昭和22)年10月21日でした。

 この開発遅延が響いたのか、第2次世界大戦終結に伴う軍事予算の削減もあって、世界初の全翼爆撃機は不採用となったものの、アメリカ空軍(1947年に陸軍より独立)はその先進的なデザインについては研究の余地があるとして、前量産機YB-35による飛行試験を続けることを決めます。また、うち2機は、ピストンエンジンをジェットエンジンに換装したYB-49に生まれ変わることとなりました。こうして、更なる飛行試験が続いたものの、結局、YB-35・YB-49とも爆撃機として採用されることはありませんでした。

 なお、ノースロップは晩年、この決定には政治的な判断が介在していたと述べています。

【写真】B-52やF-15と編隊組むB-2「スピリット」

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