露骨すぎない!? ロシア新戦闘機のプロモ動画で名指しされた国とは 各国が抱える事情

もう1か国「アルゼンチン」は経済よろしくないけれど…

 アルゼンチンはかつて、南米でも屈指の航空戦力を保有しており、1982(昭和57)年に発生したフォークランド紛争では、アメリカから導入したA-4「スカイホーク」攻撃機、イスラエルから導入した「ダガー」戦闘機、フランスから導入した「シュペル・エタンダール」攻撃機などが、対戦相手のイギリス軍に少なからぬ損害を与えました。

 実のところフォークランド紛争の時点でアルゼンチンの税制は破綻状態にあり、1980年代末には経済そのものが崩壊状態に陥っていました。このためアルゼンチン空軍と海軍は、その後「ダガー」や「シュペル・エタンダール」の後継機を導入することができず、2021年7月の時点でアルゼンチンが保有しているジェットエンジン搭載の作戦機は、空軍のA-4に近代化改修を施したA-4AR攻撃機23機と、国産の「パンパ3」軽攻撃機6機にまで減少しています。

 ドン底の状況からは脱却しつつあるものの、諸外国に対して2001(平成13)年に同国は債務返済が不可能だと宣言。そのことが尾を引いているのか、旧西側諸国のメーカーは戦闘機の売り込みに消極的な姿勢を示しています。一方、中南米での影響力を強化したいと考えているロシアと中国は、過去にも何度かアルゼンチンに戦闘機の売り込みを行ってきました。

 一部の報道によれば、「LTSチェックメイト」の価格は中国がアルゼンチンに提案したJF-17戦闘機と同程度(25~30億円)だといいます。アルゼンチン空軍はこれまで、ロシア(旧ソ連)製戦闘機を導入したことはありませんが、アルゼンチンが購入費用を用意することができ、かつ「LTSチェックメイト」が第5世代戦闘機の「価格破壊」を実現できれば、同機が同国空軍初のロシア製戦闘機になる可能性も皆無ではありません。ゆえにロステックは「LTSチェックメイト」のプロモーション動画のなかで、アルゼンチンを売りたい国の一つに挙げたものと思われます。

【了】

【上からのアングル】ロシア新戦闘機「チェックメイト」全貌

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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2件のコメント

  1. ほんとに程度が低い見出しだし、こんなのがラインニュースに出てくるのは気分が悪い。

    • YouTubeでもインチキサムネが結構あってだまされてます…