不吉を運ぶフネ? 戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」短命ながらも“The 疫病神”

不運が連続するというのはどんな世界にでもあること。とはいえ、あまりにも運に見放されているんじゃないかと思えるほどトラブルが続くと怖くもなります。そんなイギリス戦艦が第2次大戦中のイギリスにありました。

つまずきの始まりは1年足らずで退位した王様絡み

 古今東西、船乗りは、気象や海象など人間の思い通りにはできない大自然を相手に船を操ってきたことから、民間人や軍人の区別なく、ことさらに信心深く縁起を担ぐ傾向があります。

 その関係からか、船乗りたちは乗る船の「縁起」や「運」をとても気にします。幸運を運ぶ船、不運をもたらす船、縁起の良い船、縁起の悪い船……。そのような船のひとつに、イギリス戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」も含まれていたようです。

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マレー沖海戦で沈む直前、1941年12月シンガポールに到着した「プリンス・オブ・ウェールズ」。長い航海の影響で艦首側面の迷彩塗装に剥離が見られる。(画像:帝国戦争博物館/IWM)。

 ことの始まりは、ネーミングでした。1936(昭和11)年1月20日、四半世紀にわたってイギリス君主であったキング・ジョージ5世が70歳で崩御しましたが、同王の子息、つまり王子のひとりに与えられていた称号がプリンス・オブ・ウェールズで、彼は父王の跡を継いで同年に即位、エドワード8世となります。しかし王太子時代、プレイボーイとして名を馳せていた彼は、夫婦仲の問題で離婚寸前の状態にあったウォリス・シンプソン夫人と熱愛関係にあったのです。しかも、同夫人は外国人であるアメリカ人でした。

 新王エドワード8世は、最終的に王位よりもウォリスと添い遂げることを選びました。同年12月、彼女と結婚するために、戴冠式すらすることなく、早くも退位してしまいます。彼には退位後、デューク・オブ・ウィンザーの称号が与えられたものの、アメリカ国籍の婦人とのいわば“格差婚”は、「王冠を捨てた恋」とも「王冠を賭けた恋」とも称され、イギリス王室屈指のスキャンダルとして世論を騒がせたのでした。

 このような背景から、祖国が誇る新造の戦艦に国家的スキャンダルを起こした王族の張本人の尊称を付けることについて、賛否両論の激論が戦わされました。結果、最終的に賛成派の主張が通ってプリンス・オブ・ウェールズと命名されたのです。

【写真】戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」の様々なショット

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