潜水艦建造キャンセルでフランス怒り心頭! 米英豪とのトラブル 日本は傍観?

アメリカ、イギリス、オーストラリアの新たな軍事協定により、潜水艦の建造計画で「裏切られる」形となったフランスの怒りが収まりません。背景には何があるのでしょうか。また日本は“対岸の火事”として傍観していてよいのでしょうか。

豪の原潜保有 日本にとってはどうなのか?

 日本の立場からすると、オーストラリアが原子力潜水艦を保有することは望ましいと筆者は考えます。

 アメリカ海軍は2021年9月の時点で、ロサンゼルス級、シーウルフ級、バージニア級と3種類の攻撃型原子力潜水艦50隻を運用していますが、うち28隻を占めるロサンゼルス級は退役が進んでおり、将来的にアメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦の数は減勢が予測されています。

 明言こそされていませんが、AUKUSはインド太平洋地域で軍事的影響力を強化する中国への対抗を意図していると見られています。オーストラリア海軍が攻撃型原子力潜水艦を保有して、インド太平洋地域のパトロールを行えば、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦が不足しても、中国に対して軍事的な圧力をかけることが可能であり、これは日本にとって大きなメリットと言えます。

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退役が進むアメリカ海軍のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦(画像:アメリカ海軍)。

 一方、フランスだけでなくEU(ヨーロッパ連合)加盟国も、アタック級の建造計画破棄について懸念を示していることに対して、日本は注意を払うべきだとも思います。

 フランスはインド太平洋地域に海外領土を持つことから、近年では中国のインド太平洋での軍事的影響力の強化に懸念を示しており、同国海軍の艦艇や哨戒機は国連決議に基づく北朝鮮の違法な海上活動の取り締まりにも参加しています。また、ドイツも約20年ぶりにフリゲート「バイエルン」をインド太平洋地域に派遣するなど、EU加盟国の中には中国の軍事力を背景とする現状変更に懸念を示す国が増えつつあります。

 日本は同盟国であるアメリカ、事実上の準同盟国であるイギリス、オーストラリアの3か国によるAUKUSと連携していくべきですが、フランスやEUとの連携もまた、中国の軍事力を背景とする現状の変更に対抗していくためには必要であり、フランス、アメリカ、オーストラリアのいずれの国とも良好な関係にある日本は、これら国々の関係を修復させるために積極的な働きかけを行っていくべきではないでしょうか。

【了】

【画像】猛反発の火種 フランスが建造キャンセルされた潜水艦

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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