踏切の遮断桿「色」変えた結果 黒・黄→「白・赤」 立体交差せずとも事故減らせる?

現在は元通りに 検証結果は?

 JR東日本の千葉支社によると、検証期間は2003(平成15)年から2018年までの16年間とのこと。クルマの事故防止を目的に設置したといいます。遮断桿は「大口径遮断桿」といい、太さが通常の2倍ほどある重いものです。

 カラーリングも相まって視認性は向上し、事故は減少。JR東日本はその効果を得られたとしています。なお、その間に警報機にも視認性の良いタイプが登場したことや、踏切の遮断時分を適正化すると事故防止に寄与すること、赤・白の遮断桿が老朽化したことなどを理由に、現在は従来の黒・黄の遮断桿に戻されています。

 また同様の検証は、同じく内房線の大井戸踏切(千葉県袖ケ浦市)、中郷踏切(同・木更津市)でも行われました。

Large 210921 kohaku 02

拡大画像

赤・白の遮断棹を使って踏切事故を減らす試験を実施していることを知らせる看板(2009年9月、小川裕夫撮影)。

 踏切は、交通量のほか交通の種類――大型トラックと普通の乗用車どちらが多いのか、歩行者や自転車が通行できるスペースがきちんと確保できているかなど、複数の要素によって危険度合いが異なります。加えて、坂道の先にあるなど地形の要因も絡みます。

 安全対策を講じるうえで遮断棹の色を変えることは、それほど大きな費用や手間はかかりません。条件が合えばどこの踏切でも実行できます。その点でも、効果を検証できたJR東日本の取り組みは有意義だったと言えるのではないでしょうか。

 ちなみに踏切設備の色は、戦前期は黒と白という組み合わせでした。また、諸外国ではJR東日本の実証実験のように、赤・白の配色も珍しくありません。私たちが知らず知らずのうちに黒・黄が常識だと思い込んでいた踏切ですが、ふとした場所では全く違う色になっているかもしれません。

【了】

【写真ビフォーアフター】紅白踏切は今

Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)

フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

4件のコメント

  1. 色の問題ではありません。
    遮断される時間帯ト長さが問題なんです。
    タイムイズマネー
    21世紀になっても踏み切りと電柱が地上にある国って、時代遅れの象徴です。

    • 時代遅れ…

  2. 南武線でも以前紅白見ました。 

    JR系では貨物列車と列車選別装置搭載列車とでは警報開始地点を変えていますが、民鉄では半世紀以上前から行われている列車種別により警報開始地点を変えるということはなぜかごく一部の例外を除いてなされていません。誤通過、誤選別がこわければ駅停止までATS-Pのパターンでも出しておけば済むことです。

  3. 遮断棒が紅白だと、台灣の踏切と大差ないなぁ