空を飛び、海を泳ぎ、陸を走る! 空母にも発着可能な万能飛行機 グラマンJ2F「ダック」

ヘリコプターに負けない優れた多用途性

 JFは、1933(昭和8)年4月24日に初飛行します。そして本機にはアヒルのことを指す「ダック」という愛称が付与されました。この名は、ヨタヨタと空を飛び、海を泳ぎ、陸を走る武骨ながらどこかユーモラスなそのシルエットにうってつけでした。

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水面に降りて、ゴムボートで漂流していたパイロットを救助するグラマンJ2F「ダック」(画像:アメリカ海軍)。

 ただ、その外観や愛称とは裏腹にJF「ダック」は他の水上機や飛行艇にはない“性能”を持っていました。その優れた離着陸(水)性能に加え、さらに着艦フックを装備することで、なんと空母での発着艦まで可能だったのです。もちろん他の水上機や飛行艇と同様、カタパルトを用いれば空母以外の水上艦からも発艦できるため、陸上基地、水上、空母、そしてカタパルト射出と、海軍が想定するほぼすべての航空機運用シーンで使える汎用性を備えていました。

 これにより、たとえば戦艦から連絡要員を乗せてカタパルトで発艦。陸上基地に着陸して要員を降ろしたら、最寄りの島に飛んで着水しVIPを乗せ、この人物を機動部隊の空母まで送り届ける。そして空母を発進し、最初に発艦した戦艦の傍らに着水してクレーンなどで引き上げ回収、帰着という芸当ができるわけです。

 第2次世界大戦前の1930年代は、まだヘリコプターが実用化されていなかったため、場所を選ばず発着できる多用途性は、当時、まさに比類なきものでした。

【ユーモラスな姿】J2F「ダック」を様々なアングルから

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コメント

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2件のコメント

  1. 良い記事ですね。飛行機好きですが、この機種については知りませんでした。日本語記事で他に詳しいものも見当たりませんし、興味深かったです。戦史などにもあまり登場しないと思いますが、面白い飛行機だと思いました。

  2. ぱっと見着陸しづらそうだなぁお腹に客室があると相当恐ろしいのでは…広く使われていたということはそうでもないのか?操縦性に関するエピソードがあれば◎