防衛省が検討「宇宙巡回船」の野心的なミッション 宇宙状況監視衛星兼“宇宙の灯油配送カー”

衛星の長寿命化のカギは燃料補給

 人工衛星を打ち上げて運用するにあたり、気になるのが寿命です。人工衛星の製造と打上げには、少なく見積もっても1機当たり数百億円単位の予算がかかります。継続して衛星を保有する場合には、このような莫大な金額が一度きりではなく、後継機を打ち上げ続ける限り必要になるため、一度打ち上げた衛星はなるべく長く使いたいところです。

 衛星の寿命は、軌道寿命、搭載機器の寿命、そして燃料の搭載量、この3つの要素で決まります。軌道寿命は衛星が飛んでいる高度で決まり、搭載機器の寿命は劣化や故障の発生確率で決まります。どちらも避けようのないもので、ある程度計算はできます。

 燃料については、打ち上げ時に積んでいる姿勢制御用のものを、どれほど効率よく使えるかにかかっているのですが、実は事前の正確な予測が難しいのです。ゆえに現在、衛星が寿命を終える原因の多くは燃料の枯渇によるものです。

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東京市ヶ谷にある防衛省(柘植優介撮影)。

 防衛省が保有する予定の衛星は、監視のために頻繁に軌道や姿勢を変える可能性が高く、そのたびに燃料を消費していきます。塵も積もれば山となるように、1回あたりは少しでも、度重なれば切実な問題になります。最初から大量に積めれば良いのでしょうが、ロケットで打ち上げられる重量は決まっているため、人工衛星への燃料搭載量は搭載機器や衛星構体の重量などから換算すると自ずと定まります。

 この燃料搭載量の問題は、途中で補給できれば解決します。打ち上げてしまった衛星を大気圏内に降ろすことはできませんから、冬場の灯油宅配サービスのように、燃料を詰めた人工衛星を宇宙空間へ飛ばし、当該衛星に“配送”すれば良い、ということです。

 とはいえ、日本は基礎技術こそ持っているものの、「言うは易く行うは難し」の状況で、実用レベルへ到達する開発と運用は難しいのです。

【安全保障分野における宇宙利用のイメージ/宇宙作戦隊の所在基地】

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コメント

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2件のコメント

  1. 軌道上の物体を監視するのであれば、米国のAN/FPS-108みたいな高出力で高い分解能を持つ地上レーダーを複数設置するほうが性能的・コスト的にも良いのでは?

  2. 監視なら地上のレーダーで良さそうな気がするし…衛星って10年もしたらバッテリーも太陽電池もヘタッてしまうし、燃料だけ給油できるようにしても意味なくない?