大砲の究極形 戦場の女神「アンツィオアニー」と「アトミックアニー」 米独の危険すぎる破壊神

名は体を表すといいますが、兵器のなかにはその名から想像もつかないものもよく見られます。「アンツィオアニー」「アトミックアニー」はそれぞれWW2期ドイツと戦後アメリカが運用した大砲の愛称です。歴史に残る2門の「アニー」のお話。

政争の道具「アトミックアニー」の実力は?

「アトミックアニー」の移動方法はユニークで、自動車ながら鉄道車両のシュナーベル貨車(吊掛け式大物車、JR貨物におけるB梁)のように、砲の前後にM249とM250という特殊なトラクターを連結、最高速度は56km/hでした。またこれらトラクターはボギー台車のように回転できたので、前後のステアリングで見かけによらず小回りが利ききました。なお射撃時にはトラクターを外し、整地された地面に設置する必要がありましたが、約15分で射撃姿勢をとれたとされます。

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1953年5月25日ネバダ核実験場で行われたM65の実射テスト(画像:アメリカエネルギー省)。

 巨大な破壊力を秘めた「アトミックアニー」でしたが、核運搬手段としては約30kmという射程も投射火力も中途半端で、原子砲のコンセプト自体、無理がありました。臨機応変に使えるという大砲本来のメリットもありません。やがてミサイルの発達で核運搬手段が小型化、長射程化すると「アトミックアニー」は能力不足となり、1963(昭和38)年に退役します。現役に就いたのはわずか8年で、沖縄には1960(昭和35)年6月まで配備されていました。2021年現在、7門がアメリカ各地の展示施設に残されています。

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オクラホマ州フォートシルの砲兵公園に展示されているM65。砲身が仰角をとっているがトラクターを連結した移動形態であり射撃形態ではない(画像:アメリカ陸軍)。

 米独の「アニー」は生まれも育ちも違いますが、「戦場の女神」の究極形の迫力をいまなお見せてくれています。

【了】

K5列車砲とチャンピーノ・トンネル 当時の写真

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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