大砲の究極形 戦場の女神「アンツィオアニー」と「アトミックアニー」 米独の危険すぎる破壊神

アメリカの「アニー」は危険すぎる究極の破壊神

「アトミックアニー」の正式名称は、アメリカ陸軍のM65 280mmカノン砲で「原子砲」とも呼ばれます。核砲弾射撃用の野戦重砲で「アンツィオアニー」をしのぐ「核の破壊神」でした。

 アメリカ陸軍はその設計開発にあたってK5を参考にしており、口径は同じ280mmで、移動方法が鉄道車両かトラックかの違いはありますが外見もなんとなく似ています。「アトミックアニー」というニックネームも「アンツィオアニー」に由来するといわれ、姉妹関係といえるかもしれません。

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1955年に沖縄県の普天間訓練場で訓練中のM65(画像:アメリカ陸軍)。

 第2次世界大戦終結後アメリカ軍内では、陸軍から独立したばかりの空軍が核兵器をいち早く装備化し圧倒的に勢力を持っていました。核兵器は威力の大きさから予算獲得競争にも影響を及ぼしたので、政治的パワーバランスを取り戻そうと陸軍も核兵器の装備化を急ぎ、1949(昭和24)年から原子砲の開発を始めます。

 1953(昭和28)年5月25日にネバダ核実験場で、当時のウイルソン国防長官ほか政府や軍の高官も立ち会って原子砲の試射が行われました。核砲弾の威力は15キロトン相当で、広島に投下された原爆と同等です。1955(昭和30)年にM65として制式化、20門が製造され、核砲弾は80発が製造されて西ドイツ、韓国、沖縄に配備されました。

K5列車砲とチャンピーノ・トンネル 当時の写真

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