福井のゆりかもめ? 廃線跡を走る日本初の完全無人「自動運転バス」に乗る 永平寺

バスというより「新交通システム」?

 荒谷ののりばに来てみると、そこには2台の小型車両がぽつんと佇んでいました。運転手はいません。好きに乗り込み、発車時刻が来ると自動で発車する仕組みです。座席の手すりには金属板を組み立てた貯金箱のようなものがあり、そこに運賃の100円を投入します。

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のりば付近に設置されている「荒谷」の駅名標(乗りものニュース編集部撮影)。

 のりばには「荒谷」の駅名標がありますが、旧永平寺線の駅はのりばから約700m北西にありました。当時の駅名は「市野々」で、1930年代の開業当初の駅名が「荒谷」でした。

 発車するとモーターの音とともに、永平寺参道下の志比停留所に向けて緩やかな勾配をのぼっていきます。ディスプレイの表示では、運転速度は12km/h程度。路面を見ると、赤茶色に塗られた中に一筋の黒い線が引かれています。これは「電磁誘導線」と呼ばれ、車両はこの線と沿線に埋め込まれたタグチップに導かれる形で経路を認識しているのです。

 運行ダイヤでは、荒谷と志比の両側から同時発車となります。そして中間地点で行き違いが行われます。上り車両が待避所で待機。下り車両が横を通過していきます。

 バスでありながら、運転士はおらず、走る車内には自分ひとりだけ。しかし新鮮な乗車感覚ではありませんでした。無人の電動車両が路面をタイヤで走っているのは、振動や音、速度感などがむしろ、ゆりかもめをはじめとする「新交通システム」のほうに似ているのです。

 10分ほどで志比に到着。無人で動く乗りものを見て、物珍しさに写真を撮る人もいます。永平寺への参拝客の多くは自動車で直接参道下まで来るのか、写真だけ撮って引き返す光景もちらほら。とはいえ、20分間隔で1日14往復の頻発運転のためか、運賃箱はずっしり重く、そこそこの利用者がいるようでした。

【廃線跡を走る「無人運転バス」の車窓風景】

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コメント

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1件のコメント

  1. どこがゆりかもめかと思ったが、「電磁誘導線」と埋め込まれたタグチップに沿って走行するということは磁気誘導式鉄道のIMTSみたいな感じなのかな。
    いかにもバスというよりこじんまりとした車体は、新交通システムという印象が合ってるかもしれない。
    鉄道事業法若しくは軌道法の適用外なのは、公園内の遊戯施設扱いということだろうか。