天皇が思わず列車を止めた絶景とは 天空の廃線跡「北陸本線旧線」は見どころだらけ

峠を越えると、そこは天空の鉄路

 山中信号場を過ぎると約1200mの山中トンネルが待っています。このトンネルを抜けると、旧線はいよいよ日本海を臨みながら南に進路を取ります。

杉津の連続トンネル

 峠を越えると、海岸線沿いの急斜面上を、山中・伊良谷・芦谷・曲谷・第二観音寺・第一観音寺の連続トンネルで抜けていきます。

 トンネルはいずれも単線用に作られたもので、幅員は自動車1台分ほどしかありません。そのため、内部でカーブし反対側の入り口が見えないトンネルでは、中で自動車が鉢合わせすることのないよう、信号機制御で交互に片方ずつ通行する形になっています。これは、滋賀県と福井県の県境にある、同じく北陸本線の旧線を道路に転用した「柳ケ瀬トンネル」でも見られます。

杉津のパノラマ名所

 山中トンネルから杉津までは日本海を臨む雄大な景色を楽しむことができます。道路はやがて北陸自動車道の上り線の杉津PAに差し掛かりますが、ここにはかつて杉津駅がありました。

 標高180m付近の急斜面上に設けられた旧杉津駅もやはり眺望が良く、当時は「北陸線屈指の車窓風景」として、車内アナウンスがあったとか。また、大正天皇がお召列車でこの地を通りがかかった際、思わず列車の出発を遅らせてまで景色を楽しもうとしたという話も伝えられています。

 旧杉津駅を過ぎると、曽路地谷・鮒ヶ谷・葉原の3本のトンネルを抜け、木の芽川の谷あいに入ります。現存しない旧新保駅跡を抜けると、敦賀の市街地はすぐです。

 ※ ※ ※

 北陸新幹線の延伸開業でにわかに脚光を浴びる福井県。県では開業に先立ち、2020年に「FIRST291~北陸新幹線開業プラン~」を策定。三方五湖の周遊に便利な路線バスの実証運行や既存駅の改修、若狭湾サイクリングルートの整備など、観光客を迎え入れる様々な基盤づくりに取り組んでいます。

 その一環として、この旧北陸本線のトンネル群でも、「トンネルカード」の活用や有名漫画家とのタイアップといった施策が計画されています。

【了】

【旧線のルートと鉄道遺構を見る】

テーマ特集「【特集】消えていく面影、今も走れる…鉄道の「廃線」どこにある?」へ

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コメント

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3件のコメント

  1. 天皇と記載するのは不敬である。天皇陛下と敬称をつけるべき。それにいつの陛下なのか?今上天皇陛下なのか、現上皇様なのか?

    • 大正天皇と書いてあるでしょうが。尤もその時は皇太子でお召列車でもないが。
      陛下と言えば当代に決まっている。「今上」も歴代の天皇と区別する便宜的なもので、「天皇陛下」で必要十分なことに余計なものをつけることこそ不敬。
      あと、上皇の尊称も陛下なんですがね。

  2. スイッチバックの記述がかなりいい加減。
    引き上げ線・待避線(上り・下り)と3本あるのはそんなに珍しくないし、この区間では機関車の切り離しはありません。