ミッドウェー海戦大敗北は「利根四号機」の責か 重巡「利根」とその艦載偵察機の戦い

時代にマッチした重巡「利根」のコンセプト

「利根」の索敵能力はハワイ作戦(真珠湾攻撃)でいかんなく発揮され、搭載する水上偵察機「利根一号機」は第1次攻撃隊の1時間前にハワイ上空へ侵入して偵察活動を行い、攻撃直前の現地天候や敵情など攻撃隊に有益な最新情報を送りました。

 この索敵能力の真価を問われたのがミッドウェー海戦でした。空母中心の機動部隊は戦艦に比べても高速で、艦載機による攻撃リーチも戦艦の主砲よりはるかに長くなります。先に敵を見つけた方が有利で、索敵能力が勝敗を決するといっても過言ではありません。

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重巡洋艦「利根」。1937年撮影(画像:アメリカ海軍)。

 敵味方ともに高速で広い海域を動き回っている機動部隊同士です、その索敵には綿密なプロットが必要になります。我の予定航路と敵の想定航路を勘案し、索敵機の機数から発進のタイミングまで偵察網のメッシュがなるべく細かくなるように計画を立てます。

 しかし、索敵機の数を多くすれば攻撃に回す機数が減ることにもなります。雲の量など天候にも左右されますし、当時の無線機や航法機器もあまり頼りになりません。しかも低速の水上機は敵戦闘機に発見されたら逃げられませんので、接敵も慎重にならざるを得ません。索敵は多分に運任せでした。

 そうしたなかで「利根」偵察巡洋艦というコンセプトは、索敵機の数を増やす意味でも先見性があったといえます。

主砲の配置が特徴的すぎる重巡「利根」の米海軍艦種識別表

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コメント

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3件のコメント

  1. 今は衛星が海上を監視しています田(^∇^)田水上艦だけでなくシュノーケル中の通常動力潜水艦も発見できるそうです(☆∇☆)
    日本の海洋監視衛星の陣容や運用は十分でしょうか(?_?)不備があれば利根4号機の惨劇が再来するでしょう(ToT)

  2. しかし、索敵機の数を多くすれば攻撃に回す機数が減ることにもなります。雲の量など天候にも左右されますし、当時の無線機や航法機器もあまり頼りになりません。しかも低速の水上機は敵戦闘機に発見されたら逃げられませんので、接敵も慎重にならざるを得ません。索敵は多分に運任せでした。

    水上機は攻撃に回さないでしょ…

  3. とかく、当時の利根・筑摩などの索敵機能力の低さという話だけが原因であるかのように言われていますが、私個人と意見としましては、この海戦の2ほど前に、日本本土よりハワイ方面から、太平洋方面にかけて米海軍の至急電報が多しという警告電報が南雲艦隊の後方を航行していた山本五十六指揮下の連合艦隊に届いていました。これを、当時の宇垣参謀長が、多分南雲艦隊にもこの知らせが達しているだろうと勝手にいいように推測して、念のために無線能力の低い赤城以下の南雲艦隊に転送すべきでは?という他の参謀達の意見具志を止めてしまったことが、最大の敗因だと思われます。この報告が南雲艦隊に届いていれば、全く違った戦局になっていたのでは?と思われます。