M1「エイブラムス」戦車の動かし方 乗り込むのにもひと苦労? 始動から停止まで

現代戦車は高度に制御されたオートマチックトランスミッションの導入もあり、操作そのものはさほど難しくないといいます。ただし操縦やその前後の手順は…M1「エイブラムス」戦車の操縦マニュアルから、その動かし方の順を追います。

戦車を操縦する上で注意すべきことは?

 1500馬力ガスタービンエンジンの装軌車を走らせていると、気分が大きくなりどこでも走破できるように思えてきますが、しかしどこでもというわけにはいきません。下手な地形に入り込んで行動不能になった60tの車体のリカバリーをすることは、想像したくありません。

 また、32km/h以上での急旋回は履帯が外れる恐れがあるので避けましょう。減速するにもエンジンブレーキは利かないのでフットブレーキを使う必要があります。怖いのは高速走行中に履帯が切れたり外れたりした時で、ブレーキが作用せず戦車は文字通り転がっていって制御不能になる危険性があります。

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操縦席の様子。上のハッチは開いているが、ハッチカバーは重いので必ずロックし走行中の開閉操作は非常時以外禁止されている(画像:アメリカ陸軍)。

 状況終了。任務が終わって停車しても、スイッチをOFFにするだけとはいきません。エンジン停止前に油圧系、電気系が正常値であることをチェックします。マスターパワースイッチは車長の命令でOFFにします。スムーズに降車するにも乗車時のようにコツが要ります。

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現在配備されているM1戦車の最新バージョンM1A2SEPV3(画像:アメリカ陸軍)。

 戦車の操縦で難しいのは、機器の操作そのものではありません。視界が限られ五感にも頼れない環境でスムーズに走るのには、車体感覚を掴むだけでなく、車長ほか乗員との呼吸を合わせることが必要です。訓練や経験を積んで車長の指示を予想し、自車の状況を把握して次の操作の心構えができるようになれば、初心者マーク返上です。もっとも、戦車に初心者マークはありませんけれども。

【了】

【図】M1「エイブラムス」戦車の操縦室詳細

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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