「ひとりっ子空母」なぜ多い? 姉妹艦なき孤高の旧軍空母12隻 それぞれの事情

軍艦は、基本的に設計図を共用する「同型艦」を何隻か作ります。しかし、諸事情で「同型艦なし」の艦型が生まれることも。旧日本海軍の航空母艦(空母)は、他の艦種より「同型艦なしが多かった、その理由を探ります。

他艦種からの改造艦が豊富

 また空母は、戦艦や巡洋艦などと異なり、船体が大きな支援艦艇や客船などを改造しても戦力化できました。加えて改装空母は、元になった船の形状や性能にも影響されるため、同型艦なしが多くなる傾向があります。

「龍鳳」は、旧日本海軍の区分では“瑞鳳型”として分類されていますが、同型艦の「瑞鳳」「祥鳳」とは、排水量や速力、飛行甲板長などが異なります。これは「龍鳳」が潜水母艦「大鯨」をベースにしたのに対して、「瑞鳳」「祥鳳」は高速給油艦の剣埼型から改装されたからです。「大鯨」は電気溶接やディーゼルエンジンの採用など、新機軸を盛り込んだ実験艦でしたが、不具合が多く、「龍鳳」への改装では陽炎型駆逐艦の蒸気タービン機関に換装されています。

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旧日本海軍の空母「海鷹」(画像:アメリカ海軍)。

「海鷹」は、大鷹型航空母艦の1艦として分類されています。しかし、ベースとなった船が「大鷹」「雲鷹」「沖鷹」に用いられた新田丸級貨客船よりも一回り小さい、あるぜんちな丸級貨客船であったことから、性能や大きさが異なる艦となりました。たとえば、「海鷹」は「大鷹」より飛行甲板が短いものの、搭載機数ではほぼ同数で、速力では2ノット(時速3.7キロ)上回るなど、優れたところも見られました。

 なお、「あるぜんちな丸」には、姉妹船の「ぶらじる丸」が存在していました。敵潜水艦により「ぶらじる丸」が撃沈されなければ、「海鷹」には同型艦が存在したと思われます。

「神鷹」も、大鷹型航空母艦に分類されています。しかし、原型となったのは「大鷹」などの新田丸型貨客船よりも一回り大きい、ドイツ客船「シャルンホルスト」のため、飛行甲板長や搭載機数で「大鷹」を上回っていました。

 ちなみに、シャルンホルスト級客船はヒトラー政権の肝いりで造られたため、「シャルンホルスト」の進水式にはヒトラーが参列しています。客船時代、シャルンホルスト級に対抗したのが「大鷹」「雲鷹」「沖鷹」になった新田丸級だったことから、両者には因縁があるといえるでしょう。なお、シャルンホルスト級客船も日本への寄港を考慮し、輸出用の「醤油タンク」が設けられていました。

【姉妹艦のいない「ひとりっ子空母」たちの勇姿を見る】

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コメント

4件のコメント

  1. 分かりやすい記事ですね。神鷹の醤油タンクは知りませんでした。ただ、伊吹と海鷹の写真が同じなので、海鷹が正しく、伊吹は違うと思います。

  2. 同じ艦型のものを何隻も建造する目的は何でしょうか。設計期間を省くことができるからでしょうか。プレス型や治具を共用できるからとは思えないので。

    • 当初戦艦等の場合隊列を組んで砲撃戦をする事が想定されていたため

      戦闘時の航行速度や主砲射程が同じ同型艦を揃えた艦隊編成が理想とされたからです。

      有名な日露戦争の対馬沖海戦や第一次世界大戦のユトランド(ジュトランド)沖海戦を調べれば、

      その必要性がよくわかると思います。

    • 設計を省けるのはものすごくコストと時間削減になるのでは。旧海軍は規格化や共通化がだいぶ下手くそで姉妹艦でも部品が違ったりとか普通にしたのでプレス型や治具はたしかにほとんど使い回してはない、でもゼロでもない。このクラスを何隻作りますと決めれれば調達や予算工面もやりやすかったはず。

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