「チヌーク」大型ヘリを空飛ぶガソリンスタンドに 増設燃料タンクの置き場が大胆すぎる件
戦闘機や一部のヘリコプターなどでは航続距離を延ばすため、主翼や胴体に増加燃料タンクを取り付けることがあります。一見すると燃料タンクの増設が難しそうなCH-47Jの場合は、機内に設置可能。どのような場面で使うのでしょうか。
空飛ぶガソリンスタンドに大変身
この「ロバートソン」のもう一つの機能に、自機の航続距離を延ばすだけではなく、ホースを延ばすことで他のヘリコプターに給油を行うことができるという点もあります。地上で駐機しているときに限られますが、車両が展開する前の小島や、大規模災害などで道路が寸断されてしまった山間地などでもCH-47が着陸できる場所ならば燃料を運ぶことができるため、そのような場所で航続距離が短いヘリコプターに燃料補給を行えるのがメリットです。
たとえばCH-47「チヌーク」に搭載できる最大の量、すなわち「ロバートソン」3個の場合、AH-64「アパッチ」攻撃ヘリに給油を行うとすると、約8機を満タンにすることができます。なお、アメリカ陸軍では「ロバートソン」とCH-47の組み合わせを使って、ヘリコプターのみならずM1「エイブラムス」戦車にも給油を行うなどしています。
ただ、便利な「ロバートソン」もCH-47に取り付けるには相応の改修が必要になります。機体を正面から見て右手側、黒いHFワイヤーアンテナが設置されている側の窓付近に筒状のベント(丸孔)があります。このベントがある意味、「ロバートソン」の装着可能な機体であることを示しているといえるでしょう。
なお、陸上自衛隊のCH-47では、J型についてはベントがある機体とない機体が混在しており、JA型は当初から全機ついています。
機内増槽は、その名の通り機内に増設するタンクのため、外から見ただけは搭載しているかどうかはわかりません。よって普段人目につかないものですが、離島防衛や大規模災害派遣などで、ほかの航空機を支援するためには、なくてはならない装備といえるでしょう。
【了】
Writer: 斎藤大乗(元自衛官ライター/僧侶)
木更津駐屯地で5年間ヘリコプターと共に暮らした元自衛官。自衛官時代の経験を生かして雑誌やアニメに登場するヘリコプターの監修を行う。現在は実家のある日本最北の礼文島で僧侶をしながら記事を書いている。
ロープを伝って降りるには皮手袋が必須ね。
素手だと皮がむけるからね。