イタリアのデカすぎ重戦車「フィアット2000」第1次大戦は間に合わなかったけど100年後に復活!?

第1次大戦中のイタリアはあまり知られていないものの、実は意外と早い時期に戦車の開発を始めていました。完成した独自戦車は、新機軸も盛り込んだ意欲作でしたが、歴史の狭間に埋没。ただ、技術遺産として21世紀に復活を遂げています。

消えた2両&現代に蘇った1両

 こうして完成したフィアット2000戦車でしたが、その設計思想はイギリスMk.IV菱形戦車やドイツA7V戦車と同様に、塹壕突破を目的とした初期の陸上戦艦タイプの戦車であったため、山岳地形の多いイタリア北部国境周辺の戦闘では不利な車両でした。

 そのためイタリア軍は、フランスからシュナイダーCA.1戦車やルノーFT17軽戦車の部品を輸入して国内で組み立てる計画を立てます。しかし、それも計画通りに進まず、遅れていくうちに第1次世界大戦は1918(大正7)年10月に終結。大戦が終わったことでイタリア軍は陸上戦艦のようなフィアット2000戦車への興味を急速に失っていきました。

 それでも国内初の戦車部隊の運用を模索していたイタリア軍は、1918(大正7)年にトリノの第1独立突撃自動車隊に2両の試作戦車を配備します。さらに翌1919(大正8)年には3両のルノーFT17軽戦車と1両のフィアット2000戦車が北アフリカのリビアに送られて、自動車隊としてミスラタ地区での対ゲリラ戦に投入されたほか、1両が研究用としてローマに残されました。

 しかし、リビアでの対ゲリラ戦に投入された1両は、最高速度が7km/h以下のため戦力不足と見なされて、2か月後には前線から引上げられてしまいました。ただ、同車は1934(昭和9)年まで北アフリカのベンガジで移動砲台として配備されていたことが確認されています。

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ダークグリーン単色に塗られたフィアット2000戦車の左側面。敵の侵入を防ぐために高い位置に取付けられた出入口扉だが、当初は右側面の下側に設置されていた(吉川和篤作画)。

 なお、国内に残った1両は、車体四隅の6.5mm機関銃を40口径37mm戦車砲に載せ換えて、1936(昭和11)年ごろまで軍事パレードや戦車部隊の教育用に使用されましたが、その後は忘れ去られていき、イタリアはP.40戦車まで20年以上、重戦車の開発を行いませんでした。

 こうして歴史のかなたに埋没していたかに見えたフィアット2000戦車ですが、21世紀に入ってから再び脚光を浴びるようになります。

 契機は第1次世界大戦の終結100周年記念の前頃から。フィアット2000戦車について、当時としては新機軸を盛り込んだ設計であったとイタリア国内で再評価されるようになったのです。

 これにより、開発当時に製作された縮小サイズの木製モックアップ模型が各地で展示されて募金も行われ、2020年11月にはエンジン付きの原寸レプリカがイタリア北部ヴィチェンツア州で完成。時代に間に合わなかった陸上戦艦は、イタリア工業力の象徴として再び祖国の大地を走ったのでした。

【了】

【サイズ感は?】多数の乗員とともに撮影されたフィアット2000

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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