依然コロナ禍2021年の鉄道 凶悪事件などで増大する設備投資 収入減の中「選択」進む

大都市を抱える自治体では2021年、1年の多くが緊急事態宣言下にありました。ただ、世界に比べると新型コロナウイルスが落ち着きを見せ始めた日本では、徐々に外出自粛ムードも薄れ、これに伴い鉄道利用も回復しつつあります。

解けた外出自粛モード、持ち直す鉄道利用

 では、投資額の削減で後回しになったのは、どのような設備でしょうか。東急電鉄は今年5月に発表した新・中期事業戦略の中で、収益悪化により先送りを余儀なくされている工事として駅の改装やホーム屋根の延伸などを挙げています。他社でも2019年度と項目を比較すると、駅施設のリニューアルや案内設備の拡充など、サービス向上の取り組みが後退していることが分かります。

 現状が好転する見込みはあるのでしょうか。その指標となるのが下半期(10月~来年3月)の業績です。新型コロナは依然として世界各国で猛威をふるっていますが、日本では10月以降鎮静化しています。これを受けて行動制限が段階的に緩和され、外出自粛ムードが解けたことで、鉄道利用者が戻り始めています。

 JR東日本の月ごとの鉄道営業収入を見ると、9月までは概ね5割減(2019年度同期比、以下同)でしたが、10月と11月は3割減まで持ち直しています。新幹線も急激に利用が戻りつつあり、9月まで7割減だったのが10月以降は4割減まで回復しました。大手私鉄各社も同様の傾向です。

 年明けには新たな「GoToキャンペーン」が始まる予定で、更なる上積みも期待されます。関係者は祈るような思いで2022年を迎えることになるでしょう。

 とはいえ新たな変異株の出現など、新型コロナが終息する目途は立っていません。仮に終息したとしても、かつてのような「日常」には戻れないのかもしれません。新しい時代をどう生き抜くか、2021年はそれを模索する第一歩だったと言えるでしょう。

【了】

【斬新、「風が抜ける」ホームドア】イメージ図を見る

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

1件のコメント

  1. 本業の足を引っぱる私鉄の子会社がもしあるのなら整理を考えないと。 

    JR東のようなところでもワンマン化とか早朝深夜または終日の駅無人化などをコロナ以前から進めていたところを見るとよくよく鉄道は儲からないもののようです。

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