「3列目が特等席」でも本当に使う? ミニバンはなぜ3列目を豪華にしてきたか
3列目の差別化ポイントは?
実際のところ、これまで3列目はシートとしても、あくまでも+αのおまけのようになっているケースが多々ありました。前後に狭くて、大人では、きちんと座れないことも。使わないときにシートを畳めるようになっているものの、その作業が大変だというケースもありました。
3列目もフルに使う場面としては、たとえば、2列目にチャイルドシートを装着した上で、祖父や祖母、3人目の子ども、友人などを乗せるようなケースが挙げられるでしょう。一方、3列目シートを使わないとすれば、シートの快適さだけでなく、その畳みやすさ、畳んだ後の室内の広さや使いやすさも重要となってくるのです。
新型ステップワゴンの場合、3列目シートは床下収納式、ノア/ヴォクシーはポップアップ式(座席のサイド上部に折りたたんで固定)を採用しています。前者はシートを薄くする必要がある、後者は折り畳みが面倒だというネガティブな部分がそれぞれ存在しますが、今回、どちらも新型となって、そうした部分に工夫が見られます。
ステップワゴンは、シートクッションの厚みを増して座り心地をアップ。ノア/ヴォクシーは、片手で簡単に3列目シートを畳めて固定できる「ストライカロック固定」機構を採用しました。
室内空間の使いやすさや快適性を追求していく中で、2列目シートの機能が進化し尽くし、さらなるライバルとの差を付ける場所として、3列目シートに注目した――それが、新型ステップワゴンとノア/ヴォクシーというライバルが、どちらも「3列目が特等席」を主張する理由ではないでしょうか。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
なぜ、問われればそれはクルマのメーカーが横並びがお好きだからではないだろうか、と…