潜水艦にトナカイ乗務…なぜ? 英潜水艦艦長を悩ませた「ジョークか外交儀礼か」問題

古くから軍艦は、他国との外交の役割も担ってきました。艦長ともなれば相手国にとっては貴賓客になります。そうした背景に、WW2期のなんとも微妙な英ソ関係が加わって起きた、冗談のような本当のお話です。

「船乗り猫」のお話は数あれど…「潜水艦乗りトナカイ」の顛末

 軍艦、商船を問わず、乗組員として動物が乗船していたというお話は、古今東西、枚挙に暇がありません。

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WW2期イギリス海軍の潜水艦「トライデント」(画像:帝国戦争博物館/IWM)。

 正式に軍艦に乗り組んだ動物といえば、猫が多いようです。いわゆる「船乗り猫」です。「守り神」というだけでなく、ネズミ対策、乗組員のメンタルサポート、広報など具体的な任務も担っていました。第2次世界大戦では実戦に参加し勲章を授与された猫もいますし、戦死した猫も少なくありません。イギリス戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」に乗り組んだ「ブラッキー」は、チャーチルとの写真に納まった有名な船乗り猫です。

 ところが第2次世界大戦のイギリス潜水艦「トライデント」には猫ではなく、どういうわけかトナカイが乗り組みました。トナカイはネズミを捕まえません。任務は守り神というよりは外交使節でした。

「トライデント」は開戦直後の1939(昭和14)年10月1日に就役しました。1941(昭和16)年6月に東部戦線で独ソ戦が始まると、まだ参戦していなかったアメリカはドイツに苦戦するソ連に、輸送船団で武器を含む支援物資を送ります。「トライデント」はその海上輸送路を防御する任務で、1941年8月にソ連ムルマンスク州のポリャールヌイ基地に派遣されました。

チャーチルと「船乗り猫」ブラッキーの有名すぎる1枚

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