U-2「ドラゴンレディ」のいま 冷戦の空を飛んだ高高度偵察機が担う新たな役割とは?

そもそもU-2ってどんな機体?

 U-2は、冷戦真っただなかの1955(昭和30)年に初飛行した高高度偵察機で、当時、秘密のベールに包まれていたソ連の軍事施設などを、迎撃用の戦闘機などが到達できない高高度から、搭載するカメラで撮影することを目的に開発されました。当時はまだ偵察衛星も存在せず、そのためU-2による有人偵察飛行は、ソ連の内部を覗き込むことができる重要な手段のひとつだったのです。

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離陸前のU-2。徹底した軽量化のため翼下の車輪(補助輪)は離陸時に切り離される(画像:アメリカ空軍)。

 冷戦期を通じ、U-2はさまざまな活動を行ってきました。なかでも有名なのが1962(昭和37)年、ソ連がアメリカのすぐ南に位置するキューバに弾道ミサイルを運び込んだ、いわゆる「キューバ危機」に際してのことです。このとき、キューバ国内にソ連の弾道ミサイル基地が建設中であることをアメリカが最初に察知したのは、このU-2が偵察を実施した際に撮影した写真がきっかけだったのです。

 最後のU-2がアメリカ空軍に引き渡されたのは1989(平成元)年のことで、2022年現在、U-2は同空軍において26機が運用されています。もちろん、現在飛行しているU-2の性能が1955年の初飛行時と全く変わっていないわけではなく、1967(昭和42)年に機体構造などを変更した性能向上型のU-2Rが初飛行するなど、種々の能力向上が行われています。現在運用されているU-2Sでは、搭載するセンサーやエンジンの性能が大きく向上しています。

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