東海汽船ジェットフォイル20年 東京と島を近くした「飛ぶ船」の恩恵 進む老朽化

ボーイング生まれ川重製のジェットフォイル

「ジェットフォイル」は全没翼型水中翼旅客船といい、その名の通り全没型の水中翼に働く翼揚力を利用して、船体を完全に海面上へ持ち上げて高速で航走する船です。ジェット機は、高温ガスを噴出させて推力を得ているのに対し、ジェットフォイルは海水を高圧噴射することで高速力を発揮します。

 同船の原動力は1基当たり3800馬力の高出力を誇る2基のガスタービンエンジン。減速ギアを介して駆動するウォータージェット推進機が、1分間におよそ180トンもの海水を吸い込み、強力なウォータージェットを船尾ノズルから後方に噴射することで推力を得ています。自動姿勢制御装置(ACS)がセンサーからの情報を基に、常に船体のピッチング、ローリングといった回転運動による動揺を制御しているため、乗り心地が良く船酔いをしません。

「ジェットフォイル」は米ボーイングの商標です。元々はボーイングが航空機の技術を水上に適用して開発した「ボーイング929」で、1987(昭和62)年に川崎重工業が製造と販売の権利を得て以降は、「川崎ジェットフォイル929-117型」として製造されています。

Large 220329 jet 02

拡大画像

前部水中翼を出した状態で艇走する「セブンアイランド虹」(深水千翔撮影)。

ジェット船導入で利用者数が大幅増!

 東海汽船は伊豆諸島航路へジェット船をすぐに投入するため、新造船ではなく中古船で揃えました。

 同社の船隊に加わったのは1980(昭和55)年竣工の「セブンアイランド愛」と、1981年竣工の「セブンアイランド夢」「セブンアイランド虹」の3隻。船体のカラーデザインはイラストレーターの柳原良平さんが手がけました。

 ジェット船を導入した効果は大きく、東海汽船の利用客数は、就航前の2001(平成13)年と就航後の2002年を比べると、約68万人から8万人増え約76万人となっています。反応も上々で、高速化による時間の有効活用や、船酔いが少ない快適な乗り心地も相まって、実際に利用した観光客や現地の島民からも多くの支持を集めたといいます。

【実は魚っぽい?】ジェットフォイルの「腹」ほか 写真で見る

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 航空機のようにオリックスなどリース会社を通してリースする方がいいかなとおもいました。

  2. 国産1号のぎんが(?)を代替せずまだ運行してる佐渡汽船もあるし、そろそろ財政等融資とかで全国一斉置き換えをするべきじゃないのかな。大量のロットを入れて価格も下げられて。いいこと尽くしだと思うんだけど

  3. 伊豆大島へ行くのに、年に何度か利用させて頂いてます。
    ホントに便利。同じ東京とは思えないレイドバック感を半日で感じることが出来る。
    かつては、今治発のジェットフォイルにも乗った事がありました。伊豆大島までと違って、無人島が多いので速さの体感がジェットコースターのようだった。
    いつかはトッピーで屋久島や、佐渡島にも行ってみたい。

    旅の楽しさとは別に、あの速さは救急にも使える筈。無くしてほしくありません。
    これだけの補助金を貰わないと、東海汽船でも厳しいのか。